頼むのは難しい?

 

自分が何かに困っている時に、人は誰かに相談したり、尋ねたりします。

例えば、道に迷った時は、そばにいる人に「○○に行くにはどう行ったら良いのか教えてください。」と尋ねます。

まあ今はスマホアプリが教えてくれますが・・・

パソコンがフリーズしてしまって、どうしようもない、お手上げ状態の時も、友達に聞いたり、サポートセンターに問い合わせたりして問題を解決しようとします。

何に困っているのかが明確な時は、解決方法を模索するのも比較的簡単です。

自分で考えてできない場合は、他の人に助けを求めても良いと知っているからです。

 

『生きにくさ』を感じている子ども達の中には、まず「何に困っているのかよく分からない子ども」が比較的多いです。

よく分からないけど、うまくいかないし、責められてばかりで、どうしたらうまくできるのか教えてもらえないで、悩んで落ち込んでいる子どもがたくさんいます。

 

そういう子ども達は、うまくSOSが出せないで苦しんでいます。

だって、何に困っているのか明確ではないし(自分でもよくわからない)誰にSOSを出したら良いのかもわからないので、1人で抱え込んで鬱々としているのです。

 

誰かに何かを頼む時は

何に困っているのか?

どうしてほしいのか?

が分からなければ、相談のしようもありません。

 

自分でもよく分からないことを、人に説明するのは難しいです。

何を言えば良いのかわからない」と彼らは言います。

誰に言えば聴いてくれるのかわからない」とも言います。

どうしたいのか自分でもわからないんだ」と訴えます。

 

「そういう場合もSOSは出せるんだよ!」と教えないと、彼らはいつまでも苦悶し続けます。

 

SSTで「頼み方」を学習する前に大事なこと

 

SSTでは、頼み方を教える前に、「困った時はSOSを出して良いんだ」と教えます。

何に困っているのか分からない時も、「困っていることがよく分からない。」というSOSを出せば良いのです。

 

分からないことから始めたら良いのです。

~で困っているとはっきりしないことが多いです。

でも、確かに困っているのです。

 

では、何について困っているのかを探っていきましょう

学習で困っているのか?生活で困っているのか?対人関係で困っているのか?自分の特性のことで困っているのか?・・・・

細かく分析していきます。

 

もしかしたら、全部が重なって困っているのかもしれません。

それなら、1つ1つ紐解いてもつれた糸をほぐしていけば良いのです。

 

リストを作っていきます。

本人と話し合いながら記入していきます。

 

お困り相談カード

困っている分野

学習面

算数の問題が解けない

漢字が覚えられない

字が上手く書けない

どうしたい?

どうやって解くのか教えてほしい

漢字を覚えたい

字を上手に書きたい

生活面

時間が守れない

すぐに物を壊す

落ち着かない

どうしたい?

時間を守れるようにしたい

壊さない方法を教えてほしい

どうやったら落ち着くのか知りたい

対人関係

すぐ喧嘩になる

信用できない

責められてばっかり

どうしたい?

喧嘩にならないようにしたい

何を信じたら良いのかわかるようにしたい

責められないようにしたい

感情面

イライラする

落ち込む

怒りが爆発しそう

どうしたい?

イライラを解消したい

落ち込まないようになりたい

爆発しないようにしたい

自分の特性

怒りっぽい

すぐに手が出る

手先がうまく動かない

どうしたい?

怒らないようにしたい

暴力を振るわないようにしたい

手先がうまく動くようにしたい

 

リストができたら、優先順位をつけます。

今1番困っていることに色をつけるとか、線を引くとかして可視化します。

 

次に「どうしたい?」の所に注目して、そのためにはどうしたら良いのかを考えていきます。

例えば、「すぐに喧嘩になって暴力を振るってしまう」というのが、今1番困っていることだとします。(あくまで本人が困っていることです。時々支援者が困っていることと混同してしまいがちです)

 

どうしたら喧嘩にならないのか?

暴力を振るわずに解決できる方法はないのか?を考えていきます。

 

喧嘩になる原因は何なのか?

ソーシャルナラティブを使っても良いかもしれません。

喧嘩になった状況を思い出して、どこがうまくいかなかったのかを探り出します。

原因がわかれば、対処の仕方もわかってきます。

暴力に訴えることが多い場合は、「アンガーマネジメント」も効果があります。(SST 感情のコントロールのコーナーに詳しく書いてありますので、参考にしてください)

このように、何かよく分からないけど困っている子どもの場合は、少しずつ話を聴きながらリストに書いていって、可視化すると、本人にもわかりやすくなります。

 

解決方法については、色々な方法があるから、安心するように言います。

1つの方法がうまくいかなくても、次の方法を試してみたら良いと伝えます。

 

0か100かの子どもは、1回失敗すると全部ダメだと思い込みます。

ですから、始めに「これからこの方法を試してみるけど、うまくいかなくても、次にこの方法があるからガッカリしないで大丈夫だよ。」と教えておきます。

何かを始める前に、「失敗しても大丈夫!」というメッセージを送っておくことは大切です。

困った時はSOSを出しても良いんだ」ということが納得できてから初めて『頼み方』の学習に入ることができます。

 

SSTテーマ「困った時の頼み方」

SSTのやり方については、SSTのコーナー『SST「頼み方 SOS」』で詳しく説明しているのでここでは省略します。

 

教材について説明します。

SST「困った時どうする?」

ワークシート1

1場面:困っている場面が書いてありますが、実際の授業ではスタッフがロールプレイをして見せます。

2考えてみよう:どうしたら良かったのかを考えさせるワークシートです。

3まとめカード:学習のまとめをする時に使うワークシートです。

4チャレンジカード:宿題です。実際の日常生活でスキルが活用できるようにします。

 

SST「頼みたい時は?」

ワークシート2

1場面:頼み方が悪い場面(実際にはロールプレイをして見せます)

2考えてみよう:頼みたい時の「頼み方」で気をつけることを考えます

3まとめカード:どのように頼んだら良いのか、学習のまとめをします

 

SST頼み方ワークシート

ワークシート3

高学年用のワークシートです。

ロールプレイのお題:様々な場面のお題が書いてあります。1つを選んでロールプレイをします。

頼み方と同じように、頼んではいけないことなども書いてあります。

 

SST頼み方

SSTで「頼み方」を練習する時の場面カードです。

「お助けマンゲーム」の時にも使えます。

赤で書いてあるところは、付箋を貼って見えないとにして渡します。(付箋を取ると正解がわかります)

 

郡山北小学校ことばの教室 中尾和人先生「教材倉庫」です

http://www1.kcn.ne.jp/~nakao/menu.html