「ありがとう」「ごめんなさい」が言える?

ありがとうは、魔法の言葉

何かをしてもらった時に「ありがとう」と言いますが、いつ言うのかタイミングが大切です。

少し間をおいてしまうと、言うのが難しくなります。

「ありがとう」はやってもらった時にすぐ言うのが基本です。笑顔で言いましょう。

 

当たり前だと思っていることにも「ありがとう」を言おう

当たり前だと思っていることにも、「ありがとう」を言うと、相手は嬉しく思うものです。

例えば朝ごはんを作ってくれた親に「美味しそうだね。ありがとう」と言えば、作ってくれた人は作った甲斐があったと思うでしょう。

さらに食べた後に「とても美味しかった。ありがとう」と言ったら今度も頑張って作ろうと思うかもしれません。作った人の意欲に繋がります。

そんな大げさな!と思うかもしれませんが、一言「ありがとう」を言うだけで、人間関係が円滑になるのです。

「ありがとう」は出し惜しみしないで、どんどん使ってみましょう。

 

『生きにくさ』を感じている子ども達は「ありがとう」が苦手

『生きにくさ』を感じている子ども達の中には、「ありがとう」を言えない子どもが多くいます。

状況判断が苦手なので、相手が何をしてくれたのかを見極められないという場合もあります。

人間関係を構築することが難しいので、相手に関心を持っていない場合もあります。当然相手がしてくれたことに気がついていない事態も起こってきます。

自分の気持ちや考えを言葉で伝えることが苦手なので、「ありがとう」と言えず、返って素っ気ない態度をとってしまう場合もあるでしょう。

様々な理由で、「ありがとう」を言うことが難しい子どもは少なくありません。

「ありがとう」が言えないので、相手に悪い印象を与えてしまっても、それさえも気がつかないので、人間関係が悪化しても原因がわからないということが多々あります。

 

SSTで「ありがとう」が言えるように

SSTでは敢えて「ありがとう」を言おうというテーマで学習するのです。

「ありがとう」なんて言えて当たり前なので、わざわざ学習することかね?と思うかもしれません。

でも実際に言えない状況だったら、教えていくことも大切だと思います。

SSTテーマ 「ありがとう」を言おう

1 ロールプレイを見る

スタッフ2人でロールプレイをする

場面 

A君が廊下を歩いていると、B君がA君の後ろから声をかける。

A君、ハンカチ落としたよ。」と言ってハンカチを差し出す。

A君はハンカチを奪い取って黙って行ってしまう。

2 考えてみよう

B君はどんな気持ちになったか?(嫌な気持ち)

どうしてB君はそんな気持ちになったのか?(ありがとうと言ってもらえなかった。A君の態度が悪い)

どうしたら良かった?(A君が「ありがとう」と言ったら良い)

3 やってみよう

A君とB君になって、子ども達同士でロールプレイをする。

ロールプレイをやった感想を言う

「ありがとう」を言ってもらって、嬉しかった。

「ありがとう」の言い方が問題だった。

今度は「ありがとう」の言い方について話し合う。

「相手の顔を見て」「聞こえる声で」「笑顔で」「ふざけないで」

「気持ちが伝わるように」

話し合った結果を考慮してロールプレイをもう一度やってみる。

感想を言う。

「笑顔で言われるともっと嬉しい」

「声が小さいと言われてもわからないけど、聞こえる声だとはっきりわかる」

4 練習してみよう

「ありがとう」を言う場面を探す。

どんな時に「ありがとう」を言ったら良いのかを考えてみる

色々なシチュエーションで「ありがとう」を言ってみる

考えた場面を発表して、2人1組でロールプレイをする。

5「ありがとう」ゲーム

「ありがとう」カード:「ありがとう」を言う様々な場面が書かれているカード

「言い方カード」:「怒って言う」「笑って言う」「小さな声で言う」「大声で叫ぶ」「泣きながら言う」「ふざけて言う」など「ありがとう」の言い方が書いてあるカード

やり方

①「ありがとう」カードと「言い方」カードを伏せて山札にして、1人ずつ順番にそれぞれのカードを引いていく。

②カード2枚を開いて、書いてある内容を読む。

例「ありがとう」カード:隣の子が消しゴムを貸してくれた。

「言い方」カード:大声で叫ぶ

2人1組でやってみる。

1人が消しゴムを貸す。1人は大声で「ありがとう」を言う。見ていた人は感想を言う。

④次々に色々な場面で様々な言い方で「ありがとう」を言っていく。

⑤ゲームをやった感想を話し合う。

6 ホームワーク

次回までに「ありがとう」を言ってみるためにホームワークを出します。

チャレンジシートに「ありがとう」を言った場面や相手の反応、自分が言ってみた感想などを書いてくる。

7 SSTを振り返って感想を言う

今日の学習を振り返って感想を言います。

「ありがとう」の言い方にも色々あることがわかった。

「ありがとう」と言ってなかったことが多かったと思う。これからは言ってみようと思った。

 

「ごめんなさい」はなかなか言えない

「ありがとう」に比べて、「ごめんなさい」はなかなか言えないものです。

自分が悪いと思っていても、直ぐに言うのには勇気がいります。

何だか負けてしまったように感じる子どももいるようです。

例えば人にぶつかった時にもすぐに「ごめんなさい」が言える子どももいますが、黙っている子どももたくさんいます。

自分が悪いとは思ってはいない場合もありますが、そんなことぐらいで謝る必要はないと思っている子どもも少なくありません。

ちょっとしたことでも、「ごめん」とすぐに言っておいたらトラブルにならない場合もたくさんあります。

例えば、靴箱で靴を出そうとしたら、前にいた子の頭に靴がぶつかってしまった場合、ワザとではないから謝る必要はないと思っている子がいます。

でも、頭に靴がぶつかった子は、痛いし汚いので謝ってほしいと感じているはずです。

この場合すぐに「ワザとじゃなかったんだけど靴が当たってごめんな。」と言っていれば問題はないです。

ところが知らん顔をして行ってしまおうとすると、相手は「なんで謝らないんだよ。」と怒ります。

「ワザとじゃないもん」と言い返すと、「靴が頭に当たったんだぞ。謝れ!」と怒りをぶつけてきます。

「なんで謝らなくちゃいけないんだよ。ワザとじゃないって言ってるだろ。」と言い返したりしたら、そのまま喧嘩になってしまいます。言い出した手前意固地になって決して謝ろうとはしないのです。

これに似たことは日常生活では頻繁に起こることです。

その時に直ぐに謝れるかどうかで、その後の展開が変わってきます。

トラブルを避けて、人間関係を円滑にするためにも、「ごめんなさい」は大切な言葉です。

どんな時に謝るのかは、人によって違います。

映画館の座席で前を通る時にも「すいません、通ります」と言う人と、黙って通る人がいます。

約束の時間に遅れた時も「すいません」という人と、「電車が遅れてしまったので」と言い訳ばかりする人がいます。

謝るのは、相手の気持ちを推し量ってする行為です。

自分の行為で相手が不快に思っていると思えば、すぐに謝る方が良いでしょう。

でも、相手の気持ちを読み取るのが苦手な子どもは、自分の行為が相手を不快にさせているとは気が付きません。謝る必要性を感じていないので、当然謝りません。これがトラブルの原因になります。

いくら「相手の気持ちを考えなさい」と言っても、彼らには難しいのです。

共感することができないのですから、相手の気持を想像することは困難です。

 

SSTで「ごめんなさい」が言えるように

『生きにくさ』を感じている子ども達は謝ることが苦手な傾向があります。

自分の非をなかなか認められないのです。

非を認めてしまったら、自分を全否定したことになると感じている子どもは多いです。

自尊感情の低さから、自分をトゲトゲの鎧で覆って、武装していますので弱さは見せられないと思っている傾向があります。

謝ること」は、自分が負けることで、自分の弱さを見せることだと無意識に思っている場合があります。

SSTでは、何故謝る必要があるのかを教えていきます。

ワザとではなくても相手が不快に思うことをしてしまったら謝らないといけないということを納得させなければなりません。

SSTでは、どんな場面で謝る必要があるのかを教えていきます。

様々なシチュエーションがあります。どんな時に謝るのか考えていきます。

SSTでは、どんな謝り方をすれば良いのかを教えます。

謝り方も色々あります。相手に気持ちが伝わる言い方を考えます。

また、相手によって謝り方は変わってきます。

どんな場面で、どんな相手に謝るのか想定して練習をしていきます。

 

SSTテーマ「ごめんなさい」を言おう

1ロールプレイをみよう

スタッフ2人のロールプレイを見る

A君が机に座って学習をしている。B君が通りかかった時にA君の筆箱が落ちて壊れてしまう。B君はそのまま行こうとする。

A君が「お前のせいで筆箱が落ちて壊れた。謝れ」と言う。

B君は「僕のせいではない。勝手に筆箱が落ちたんだから謝らない」と言いました。

「筆箱が壊れたんだから弁償しろよ」「なんで?勝手に落ちたのに。」「お前が落としたんだ」2人は喧嘩になってしまいました。

2 考えてみよう

2人は何故喧嘩になってしまったんでしょう?

A君がB君に難癖をつけた」「B君がすぐに謝らなかった」「B君は筆箱を落としてないと思っているのに、A君は落としたと思っているから」

どうしたら喧嘩にならなかったでしょう?

A君がB君のせいにしなかったら良かった。」

B君が謝ったらよかった。」

「自分のせいだと思っていないのに謝れないよ」

「でもワザとではなくても筆箱が落ちたんだから謝った方が良いよ」

ワザとではなくても謝った方が良い時があることを確認しました。

3 やってみよう

2人1組でロールプレイをします。

A君になる人は、椅子にすわります。B君になる人が通り過ぎると、机の上にあった筆箱が落ちます。B君は「ワザとじゃないけど落としてしまった。ごめんね。」と言います。A君は「良いよ。」と言います。

4 練習をしよう

様々な謝る場面を考えて練習をします。

2人1組でロールプレイをします。

「ごめんね」カードを引いて、書いてある場面でどのように謝るのか考えて練習をします。

謝り方に気をつけてやります。

相手の顔を見て・聞こえる声で・すまないと言う気持ちが伝わるように謝る。

5「ごめんね」ゲーム

プレイルームでサーキットトレーニングをします。順番を守ったり、ルールを守ったりして跳び箱や橋やタイヤ飛びなどを回っていきます。途中でぶつかったり、先に行ってしまったりしたら、「ごめんね」と3秒以内に言います。遊びながらチームの友だち同士で謝る練習をします。

6 ホームワーク

「謝る」場面があったら、家庭でも学校でも実践してみるために、ホームワークを出します。

7 今日のSSTを振り返って、感想を言う

今日のテーマ「ごめんなさい」を言おうを学習して、わかったことや気が付いたことなど、それぞれの意見や感想を発表します。

SSTでは、敢えて「ありがとう」や「ごめんなさい」を言う練習をします。

子ども達が、日常生活で人間関係を築く時に必要なことだからです。

意識しないとなかなか言えないものです。

SSTで学習して、「ああこんな時に謝る方が良いと教えてもらったなあ」と1回でも思い出して言えるようになれば良いなあと思っています。

 

SSTはゲームの「アイテム」集めのようなもの

以前に説明したように、SSTはゲームの「アイテム集め」のようなものです。

たくさんアイテムを持っている方が有利です。

アイテムを持っていることで、必要になった時に取り出して使えるようになれば、彼らの『生きにくさ』も少しは改善するのではないかと考えています。

今回は「ありがとう」「ごめんなさい」を言おうというSSTをご紹介しました。

次回は、感情のコントロールについてSSTではどのように取り組んでいるのかをご紹介します。