感情のコントロールは難しい

感情のコントロールの中でも「怒りのコントロール」は特に難しいです。

『生きにくさ』を感じている子ども達の中には、怒りの沸点が非常に低い子どもが多いです。

ゲームで負けそうになった時も、怒りが抑えられずに物を蹴ったり壊したりしてゲームができないようにしてしまう子どももいます。

相手が少しからかった時も、すぐに殴ったり蹴ったりして暴力をふるってしまします。

自分の意見が通らなかったり、非難されたと感じたりした時も、暴言や暴力に訴えることが多いです。

また、痛み(椅子に足がぶつかったなど)が引き金になって怒りが爆発することもあります。

テストの点数が自分が思うよりも低かった時も、怒ってテストをクシャクシャにして床に捨てたり、机を倒したり、椅子を蹴ったりします。

「怒りのコントロール」は、必要不可欠

怒りは周りを巻き込みます。

周囲の人は、怒りをコントロールできない人を避けようとします。

周囲の人とうまく関係を築いていくためには、自分の怒りをコントロールする必要があります。

ではどうやってコントロールすれば良いのでしょう?

どんな状況で怒りを感じるのかを知る必要がある!

ある人には何でもないことでも、他の人にとっては許されないぐらい怒りを感じることかもしれません。

その人の怒りを感じる物事やレベルは千差万別です。

まず、自分がどんなことで怒りを感じるのかを知っておくことが大切です。

例えば、「自分は負けず嫌いだから、ゲームに負けると怒ってしまう。」という実態を把握しておくと、ゲームをする時に心構えができます。

「自分は、清潔な状態でないとイライラしてしまう。」という自覚があれば、清潔ではない場所には近づかないようにするという対処法がわかります。

自分はどんなことで怒りを感じるのかを知るために、記録をつけると良いでしょう。

感情が爆発してしまった後で、冷静になった時に、振り返りをするのです。

自分の行動を振り返ってどうしたら良かったのかを書いていく方法があります。

怒りに負けるな!ワークシート

どんな時?

どうして?

どうなった?

どうしたら良かった?

みんなと一緒にゲームをしている時

ゲームに負けて

ゲームを無茶苦茶にしてみんなが怒った

その場を離れたら良かった

サッカーの試合の時

シュートが入らずに負けた

ボールを遠くに蹴り飛ばして試合から出された

我慢すれば良かった

テストの点数が悪かった時

100点だと思っていたのに間違えていた

テストをくしゃくしゃにして先生に怒られた

教室から出てクールダウンすれば良かった

このように、自分が怒りを感じた場面を記録していくと、どんな時に怒りを感じるのかがわかるようになります。

1人でつけるのは難しい場合は、個別に先生やスタッフが聞いてあげるのも良いと思います。

表ではなくて、カードに書いていく方法もあります。

付箋紙などに書いて、状況別に貼っていく方法です。

ドッジボールで、真ん中の線を踏んでいないのに踏んだと言われてボールを遠くまで蹴った。

ドッジボールから抜けたら良かった。

どんな状況で怒りを感じたか?シート

負けて悔しい

寒い・暑い・お腹がすいた・眠い

からかわれたと思った

痛かった

付箋紙には、どんな状況で?どうしたか?どうすれば良かったのか?などを書きます。

どんな状況で怒りを感じたか?シートに、怒りを感じた原因別に付箋紙を貼っていきます。

付箋紙を貼った数が多いところが、ウィークポイントです。

表で見ると一目瞭然で、視覚化することができます。

 

感情は個人的な問題ですので、同じような状況でも行動は違ってきます。

自分とは違う感じ方をする人もいる」ということを、知る必要があります。

他の人のシートを見ることで、この人はこんな時に怒りを感じているんだと知ることができます。

 

怒りをコントロールする方法を知ろう!

怒りを感じる状況がわかってきたら、事前に心構えができます。

自分は「ゲームに負けると怒りを爆発させてしまう」と知っていたら、対処法を考えていけば良いのです。

☆勝ち負けのあるゲームはやらない

☆負けそうになったらゲームを抜けてクールダウンする

☆負けてしまった時にその場を離れてクールダウンする

☆負けても次があるから、今度頑張ろうと思う

 

色々な対処法を自分で考えて、実行してみます。

うまくいかない方法もあるでしょう。その時は別の方法を試してみます。

うまくいく方法を見つけたら、その方法を使っていくと良いでしょう。

 

自分に合った対処法を見つけよう!

大切なのは、自分に合った方法を見つけることです。

ある人は、深呼吸が効くかもしれません。

でも、他の人にとっては全然効かない方法かもしれません。

自分にはどんな方法が良いのかを色々試してみて有効な方法を見つけることが重要です。

 

クールダウンの方法

クールダウンの方法も、人それぞれです。

有効なクールダウンの方法を獲得するためにも、どんな方法があるのかを知っておく必要があります。

☆深呼吸:ゆっくりと息を吸いながら5まで数えて、吐きながら5まで数える。これを繰り返す。

☆緊張・弛緩:全身に力を入れる。手・肩・背中・腰・足を緊張させる。その後全身の力を抜く。これを繰り返す。

☆紙に怒りを:紙に怒りをぶちまける。嫌だったことを書きまくった後、クシャクシャにして捨てる。ビリビリに破いても良い。

☆イメージ:楽しいことを考えたり、自分が心地いいと感じる場所のイメージを心に思い浮かべる。

☆ポジティブ思考:次は大丈夫、きっと勝てる!などポジティブに考えるようにする。

☆好きなことをする:音楽を聴く・絵を描く・美味しいものを食べる・ピアノを弾く・バッティングをするなど、自分が好きなことをして落ち着かせる

☆ペットセラピー:動物と一緒にいる。動物に話をする。

色々なクールダウンのやり方があります。

 

自分はどうやったらクールダウンできるのか?

実際に試してみてこれだったらうまくいくと思う方法を見つけましょう。

大切なのは、幾つも知っておくことです。場の状況によっては使えない方法もあります。

 

例えば、好きなことをしたくても、学校では勝手に音楽を聴くことはできません。

それなら次の方法(イメージ)を試してみて、まだ怒りが収まらなかったら、緊張・弛緩を試してみる。

いくつか方法を知っていれば、慌てずに対処することができます。

 

SSTで感情のコントロールを!

 

SSTテーマ 感情のコントロールをしよう

1場面 スタッフ2人でロールプレイ 

2人でトランプをしています。A君が負けてしまいました。A君は怒ってトランプをバラバラにして足で蹴りました。トランプは敗れてしまいました。

 

2考えてみよう

A君は何故トランプをバラバラにして蹴ったのでしょう?

A君が負けたから悔しくてやったと思う。

あなたがA君だったらどうすると思いますか?

部屋を出てクールダウンをする

クールダウンの方法は?

深呼吸をする

 

3ロールプレイをやってみよう

2人1組でトランプをします。負けた方がクールダウンをします。

 

4練習してみよう

どんな時に怒りを感じるのか考えてみる(ワークシート)

その時の対処法を考えてみる

色々な場面で怒りを感じた時の対処法を練習してみる

「怒り場面」カードを1枚引いて、その時自分がどうするのか発表する。

 

5ゲームをしよう

勝ち負けがあるゲームをする

例 トランプ ボードゲーム カードゲーム ジェンガ

 

6振り返り

今日の学習を振り返って、思ったことや気が付いたこと、感想を発表する。

 

 

今回は感情のコントロール、特に怒りのコントロールについて紹介しました。

*自分はどんな時に怒りを感じるのかを知っておくこと

*その時どうしたら良いのかを、冷静な時に考えておくこと

自分に合ったクールダウンの方法をたくさん知っておくこと

 

SSTでは、怒りのコントロールをこのような手順で教えていきます。もちろん色々な方法がありますので、他の方法もあります。

 

SSTで学習したことを、実際の場面で使えるようになるためには練習が必要です。

繰り返し失敗をするかもしれません。

でも、知っていることと知らないことでは雲泥の差があります。

 

これも「アイテム」の1つです。持っていると有利です。

たとえその時はうまく使えなかったとしても、いつか上手に使える時が来るかもしれません。

 

次回は、同じようなことですが「ストレスの対処法」についてご紹介しましょう。

SST「腹が立った時どうする?」

SST「感情のコントロールについて」