言葉を字義通りにとる子ども達

私たちの生活の中では、言葉を最後まで言わずに省略して言う場合があります。

それでも大抵の場合は、意味が通じて支障なく生活できています。

例えば、朝ごはんを食べている時に、「もう750分よ」とお母さんが言うと、子どもは「早く食べないと遅刻しちゃう」と思って朝ごはんを急いで食べ終わろうとします。

つまり、お母さんの「750分よ」の後に「早く食べないと遅刻するわよ」という言葉が省略されていても、子どもは『言葉の裏の意味』を汲み取って、急いでご飯を食べることができるのです。

『生きにくさ』を感じている子ども達の中には、この『言葉の裏の意味』を読み取るのが非常に苦手な子どもがいます。

お母さんが「750分よ」と言っても、時計を見て「750分だ」と思うだけで、早くしないと遅刻するとは思わないのです。

言われた言葉通りにとりますから、その裏の心情まで読み取ることはできません

こういう例は日常生活には沢山あります。

これが、彼らの躓きの元となるのです。

「言葉の裏にある意味」って?

「大抵の人は、無意識に『言葉の裏にある意味』を汲み取って行動しています。

それは、その場の状況を把握して相手の心情を読み取って言外に言わんとする意味を理解しているからできることなのです。

しかし、状況の把握が苦手で、相手の心情を推し量ることができない子どもにとっては、これは難題です。

それならそれで、はっきり言ってよ」と思っていることでしょう。

お母さんが「もう750分ですよ。早くしないと遅れるわよ」と言ってくれれば理解できるのですが、「750分ですよ」では、時刻を伝えたことにしかならないのです。

言外の意味を読み取ることは、高度なスキルを必要とします。

「そんなことない、普通にできることだよ」と思うかもしれません。

でも、相手の立場に立って物事を考えることが苦手な子どもにとって、相手が思っていることを推測することは至難の技です。

また、その場の状況を把握するということは、周りがよく見えてないとできません。

さらに、時間の観念というものも、非常に難しい問題です。

時間は目に見えないので、捉えどころがありません。

「何時までに〇〇をしないといけない」という状況であることが認識できていれば、人はその時間までにのように行動をするのかを計画して、時間内に作業が終えられるように努力します。

それができない子ども達が沢山います。

彼らには、時間の観念というものがはっきりしていません。

「朝ご飯を何時までに食べないと遅刻する」という観念はなかなか理解できないのです。

「言葉の裏の意味」を教えるには?

行間を読む」という言葉があります。

文字で直接表現されていない筆者の本当の気持ちや意向を感じ取ることを「行間を読む」と言いますが、これも一種の「言葉の裏の意味」を汲み取ることです。

言葉通りではなく、その奥にある相手の気持ちや意向を感じ取らなければできないことです。

しかし、感じ取ることができない場合はどうしたら良いでしょう?

感じ取る訓練をすれば、感じ取れるようになるでしょうか?

それは無理だと私は思います。

感じ取る力というものは、トレーニングして伸ばせるものではないと思うからです。

 

それでは、どうしたら理解できるようになるのでしょうか?

言葉の裏にある意味』について、詳しく教えてこういう場合はこんな意味があるのだということを教えていく必要があると思います。

沢山あるから、全部は教えきれないでしょうが、少しずつ「意味」を理解できるようになっていくのではないでしょうか?

SSTで『言葉の裏の意味』を教える

 

まず、『言葉には裏に意味がある』場合があるということを教えます。

ケースバイケースですが、言葉通りではない場合があることに気づかせることが大切です。

 

1場面(ロールプレイ)

A君が砂場で遊んでいました。

先生が「チャイムが鳴ったよ。」と言いました。

A君は「チャイムは鳴りました。」と言って砂場で遊び続けました。

 

2考えてみよう

ロールプレイを見た感想を言う

「どうだった?どんなことを思った?」

先生は何でチャイムが鳴ったことをわざわざ教えたのかわからない

 

「先生はどうして『チャイムが鳴ったよ』と言ったと思う?」

わからない場合は、「チャイムが鳴ったらどうするの?」と聞いてみる

チャイムが鳴ったから授業が始まるっていう意味だと思う

チャイムが鳴ったから教室に入りなさいっていう意味だと思う

 

A君はどうすれば良かった?」

砂遊びを止めて、教室に入ったら良かったと思う

 

3やってみよう

子ども達同士でロールプレイをしてみます。

ロールプレイをやってみた感想を言います。

 

4練習しよう

言葉には裏の意味があることを学習します。

*給食の時間に「1255分ですよ」と言われたら?

*「掃除時間になっていますよ」と言われたら?

*「次の人の番ですよ」と言われたら?

色々な場面で言われた言葉の意味を考える練習をします。

 

5ゲームをしよう

様々な場面が書いてあるカード(場面カード)を用意します。

山札において2人1組で引いていきます。

場面カードを見て、2人でロールプレイをします。

感想を言います。

 

6振り返り

「言葉の裏にある意味」を学習した感想を言います。

 

 

今回はSST「言葉の裏にある意味」について紹介しました。

「暗黙のルール」と同じように、難しいテーマです。

色々な場面があって、11つを教えていくことは困難です。

「こんな時はどうすれば良い?」と聞いて、「言葉の裏には意味がある」場合があることを理解させるようにしていくことが大切です。

少しずつですが、言葉通りに取らないで、意味があることを理解してくれると思います。

授業で使ったワークシートです。もし良ければ参考にしてくださいね。

SST言葉の裏にある意味

ワークシートの内容

1場面(ロールプレイをします)

2考えてみよう(色々な場面が書いてあります)

3まとめカード(学習のまとめです)