SSTって何かな?
SST(ソーシャルスキルトレーニング)の説明
SST(ソーシャルスキルトレーニング)とは、簡単に言うと社会性を培うトレーニングのことです。社会性を培うとは、人が社会で他の人と関わりながら生きていくために欠かせないスキルを身につけていくことです。
発達障害のある子どもは、友達や周りの人とうまく関係を築けないことが多いです。
例えば、一緒にゲームをする時には、「ルールを守る」「負けても怒らない」「順番を守る」などのスキルが必要です。ですが、自分勝手なルールを作ったり、負けそうになると悔しくて暴言を吐いたり、物を壊したりする子どもがいます。一緒に参加している人が不愉快な気持ちになっていてもわからない子どももいます。みんなと一緒に楽しくゲームをするということでも、スキルが身についていないとうまくできません。
SSTでは、友達や周りの人とうまく生活をしていくためのスキルを学習します。
起きてから寝るまで、私たちは無意識のうちにたくさんのスキルを駆使して生活をしています。全く意識しなくても自然に身についているものも多いです。
発達障害のある子ども達の中には、これらのスキルが習得されないまま成長している子どももいます。スキルの存在さえ知らずに、集団生活の中でトラブルの渦中に投げ込まれている場合もあります。
SSTでは、社会で生きていく上で必要なスキルを、スモールステップで取り上げて学習していきます。
SSTではどんなスキルを学習するのかな?
SSTで取り扱うスキルは無限にあります。
ですが、取り敢えず子ども達が学校生活や家庭で困らないようにするためのスキルを優先的に取り入れます。
多くの子ども達が人間関係のトラブルに巻き込まれています。それを少なくするためのスキルが必要です。
まずは意識することです。
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SSTの活動内容1
SSTのやり方は様々です。どんな方法でも良いと思います。
ただし、ターゲットスキル(その学習でどんなスキルを身につけさせたいか?)が明確であることが大切です。ただゲームをやっているだけではスキルは身につきません。
例
支援者は「今日のゲームでは『負けても怒らない』というスキルを学習させよう」という目標を立てます。
ゲームを選ぶ時に、勝ち負けがはっきりわかるゲームを敢えて選びます。
ゲームを始める前に「今日は『負けても怒らない』という目標でゲームをするよ」と子ども達に伝えます。
ゲームをただするのではなく、目標を決めて行うことが大切です。
SSTの活動内容2
基本のSSTでは、ターゲットスキルを決めて、次のように授業を展開させます。
例:ターゲットスキル「負けても怒らない」
1ロールプレイを見る
課題のある場面を、支援者2人でロールプレイをしてみせます。(バッド例)
例:ゲームをやっていて負けそうになって、A君は暴言を吐いたり、ゲームをぐちゃぐちゃにしてしまう。Bさんは唖然とした顔で見ている。
2考えてみよう
ロールプレイをみて感じたことや気づいたことなどを話し合います。
例:怒ったらダメだよ。一緒にやっていてつまんない。ゲームができない。
どうしたら良かったのかを考えます。
例:悔しくても我慢。我慢できないなら、パスって言って離れたら良いよ。深呼吸する。
3やってみよう
先ほどのロールプレイの内容を、さっき話し合ったうまくいく方法で、子ども達がロールプレイをします。支援者とでも良いし、子ども同士でも良いです。
例:ゲームで負けてきたら、「ちょっとパスする」と言ってその場を離れる。
4練習してみよう
実際にゲームをしたり、カードを使って考えたり、ターゲットスキルがうまく使えるように練習します。
例:勝ち負けがはっきりしたゲームを実際にやってみて、話し合ったスキルがうまく使えるかを試してみます。
5振り返り
今日のSSTでわかったこと、ゲームをして気がついたり思ったことなどを発表します。
スタッフからは、子どもの良かったところ、頑張っていたところなどを発表してもらいます。
この活動内容はあくまで基本のやり方です。
レインボー塾では「こんな時どうする?」のコーナーでこのような内容で学習します。
幼児や小学校低学年(1,2年生)の子どものSST
幼児や小学校低学年(1,2年生)の子ども達には上記のような活動内容では難しいかもしれません。発達段階に合わせて活動内容を変えることも重要です。
幼児期や低学年の子ども達には、遊びの中で指導していく方がわかりやすいように思います。
身体を動かしながら、音楽に合わせながら、何かを作りながら、ゲームをしながら、楽しく活動をする。その中から、友達と一緒に遊ぶって楽しい!と思い、みんなで一緒に作っていくのは面白い!と感じ、少しずつ学べれば良いと思います。
喧嘩やトラブルがあった時が、指導のチャンス!
活動をしていく中で、喧嘩やトラブルが発生することはよくあることです。
でも、その時が指導のチャンス!なのです。
トラブルの原因を突き止め、どうすれば良かったのかを考え、もう一度巻き戻してやってみることで、生活の中で実際に起こりうるトラブルを回避する方法を学ぶことができるからです。
今回はSSTの概要を説明しました。
SSTをやる前に、ウォーミングアップをする方が、スムーズに学習に進むことができます。
今回のSST教材は、ウォーミングアップ一覧です。→こちらをクリック
次回からは、ターゲットスキル別のSSTについてもう少し詳しく説明していこうと思います。
お楽しみに!