SST 時間を守ろう

時間を守るのが苦手?

私たちは、常に時間に追われて生活をしています。

例えば、遅刻をしないように、到着時刻から逆算して、朝起きる時刻、支度にかかる時間、出発時刻などを計算しながら行動しています。

でも、時間というのは目に見えないものです。過ぎていく時間が、色や線などで見えたら、残り時間があとどの位あるのかもわかるし、こんなに早く時間が過ぎてしまうのだということも実感できます。

時計を見ればわかるという人もいるでしょう。

勿論、時計は最強のアイテムです。

でも、時計を見たとしても、それが示すものと、自分の生活とを結びつけなければ、ただの時刻を表すものでしかありません。

発達障害などで「生き辛さ」を感じている子ども達の中には、時間をうまく使えない子どもが多くいます。

時間は見えないし、生活を時間と共に過ごしている認識が無いのです。

毎朝、学校に遅刻せずに行くのは、時間を見て生活しているからできることです。

発達障害(特にADHD傾向がある)の子ども達は、時間を意識して生活することが苦手なことが多いです。

朝、保護者に起こされても、なかなか起きれない。朝の支度(着替え、顔を洗う、歯を磨く、朝ご飯を食べるなど)をするのも、テレビを見ながら、ダラダラ過ごしてしまう。

整理整頓も苦手なので、朝になってから、探し物をする。

そんな状態で、どうしても時間に間に合わないということが、日常的に起こってしますのです。

お家の人も、朝から「早くしなさい、遅刻するでしょ!」と声を荒げて、いつも怒った状態で送り出してしまう。

毎朝、遅刻が続くと、遅刻することにも慣れてしまって、本人に困り感は無くなってしまって、当たり前の状態になります。

授業中でも、同じ状態が続きます。

朝の支度同様、何をするにも気が散って時間がかかってしまいます。

体操服や給食服に着替えるのが遅いので、みんなを待たせてしまう。

何かをしなければいけないのは、わかっているのですが、時間通りにはできないことが多いです。

家に帰ってからも、自分のやりたいことが優先されてしまうので、夕食を食べるのも、宿題をするのにも時間がかかってしまいます。

テレビゲームを始めたら、延々と続けてしまうので、お風呂に入ったり、寝る支度をするのにも支障が出てきます。

就寝時刻が遅れてしまうので、朝起きられない。

この悪循環が、毎日繰り返されます。

何故時間を守らないといけない?

時間を守るためには、まず、本人が自覚しないと難しいです。

本人が、『遅刻は嫌だ、何とかしたい!』と心から思わない限り、どんな方法を使ってもなかなか改善できません。

何故、時間を守らなければいけないのか?

私達の生活は時間に束縛されているからです。

働いていれば、遅刻をしないように家を出なければいけません。

納期のある仕事なら、締め切りに間に合わせなければいけないのです。

子ども達の生活も同様です。

学校には始業前に着いていなければいけません。

授業の時間も決まっていて、途中で疲れたからって、帰るわけにもいかないでしょう。

給食の時間は、時間内に食べることが要求されます。

休み時間が終わったら、どんなにまだ遊びたいと思っていても、途中でやめて教室に戻らなければいけないのです。

この様に、子ども達の生活も、時間を守ることが前提で成り立っているのです。

時間を意識することができにくい子ども達には、非常に困難な状態です。

SSTで時間を守ることを教える

SSTでは、社会生活を過ごす上で必要なスキルを学習します。

時間を守ることも、その1つです。

いつも遅刻する、授業中教室から出ていく、休み時間が終わっても、運動場で遊んでいる、給食を時間内に食べられない・・・などの状況は、集団生活に適応できないです。

SSTでは、まず時間という概念を意識するところから始めます。

時計を見ること。ちなみに時計の針を見て、時間がわかることを前提としますが、時刻を読み取れない子供は多くいます。

デジタル時計の方が、はっきりわかるので、適切だと思います。

何時何分かがわかっても、何分間という、目に見えない時間の流れを意識することはとても難しいです。

5分間で歯を磨きましょうと言っても、5分がどのぐらいかわからなければ、実行できません。

発達障害などの子ども達が、時間を意識できるような便利な時計があります。

目に見えて、時間が減っていくのがわかる仕組みになっています。

市販でも買えます。

何時何分から何分間進んだら、何時何分になるか?

例 6時30分から30分進んだら何時何分になるか?

何時何分の何分前は何時何分か?

例 6時30分の15分前は何時何分か?

多分多くの人は、意識せずに答えがわかるのだと思いますが、難しい子どもも多いです。

だから、朝の支度に、何時何分までに起きて、顔を洗って〜という時間を意識した生活ができずに、結果遅刻を繰り返すという行動になってしまうのです。

そこで、SSTでは、時間を意識することを学習します。

ウォーミングアップ

ウォーミングアップで、1分間ゲームをします。

床に寝転んで、リラックスします。ゴロゴロ動き回っても構いません。

ジュンヤさん
ジュンヤさん

今から1分間ゲームをします。

自分で1分経ったなあと思ったら、座ってください。

始めますよ!3、2、1スタート!

この時スタッフは、大きな時計(デジタル)をみんなに見せながらゲームをします。

子ども達は、寝転びながら、自分で数を数えたり、リズムをとったりして、1分だと思う時に座ります。(時計を見てもOKです)

次々に子ども達が座っていきますが、スタッフは1分経つまで黙っています。

1分間経ったら、笛を鳴らします。

その時丁度座った子どもが優勝ですが、その少し前でも、OKです。

まだ、寝転んでいる子どもには、もう1分経ったよ!と告げて、座らせます。

ジュンヤさん
ジュンヤさん

今度は、1分経ったと思ったら、立ちましょう。

3、2、1スタート!

次は大きな時計は見えないようにしてゲームをします。

今度は自分で時間を測りながら、1分経ったと思ったら立ちます。

スタッフは1分経った時に笛を吹きます。

まだ座っている子どもには、1分経ったので、立つように言います。

ジュンヤさん
ジュンヤさん

みんな、上手になってきたね。

今度は、歩き回って良いよ!

走ると危ないので歩きましょう。

ウォーミングアップルームをいっぱい使って歩いても良いよ。

そして1分経ったと思ったら、今いる場所に戻りましょう。

始めるよ!3、2、1スタート

子ども達は、今いる場所にステッカーを置いてから、歩き回ります。手をブラブラさせたり、頭を振ったりしながら、楽しく歩きます。

1分経ったと思う時に、自分がステッカーを置いたところに戻って立ちます。

1分経ったら、スタッフが笛を吹きます。

戻れていたら勝者です。

まだ戻っていない子どもには、1分経ったので戻って立つように言います。

ジュンヤさん
ジュンヤさん

すごいなあ。たくさん戻ってくれたね。その調子。

次はもっと難しいよ!

音楽をかけるから、音楽に合わせて、スキップをしても良いし、友達とぶつからないように踊っても良いよ。

もちろん歩いても良い。

好きに身体を動かしてね。

1分経ったと思ったら、さっきみたいに元の所に戻ってね。

さあいくよ!3、2、1スタート!

このようにして、1分間という時間がどのぐらいなのかを体感していきます。

慣れてきたら、時間を伸ばしても良いし、やることをもっと複雑にしても良いでしょう。

例えば、サーキット・トレーニングを5分間する。

ドリブルやシュートを5分間する。

発達段階やメンバーの特性などを考慮して、みんなが楽しめる内容時間を意識させていきます。

大切なのは、時間は見えないけど、このぐらいが1分なんだとか5分なんだと言うことを、実感できるようにプログラムすることだと思います。

楽しみながら、体験を重ねていくことで、時間というものが理解できるようになったら良いなと思います。

ロールプレイを見よう(問題提示)

スタッフがロールプレイをして見せます。(タロウさんの朝の一コマ)

マリコさん
マリコさん

タロウさん、もうこんな時間ですよ!起きなさい!

早くしないとまた遅刻しますよ!

タロウさん
タロウさん

なんだよ!まだ眠いよお!寝かしてくれよ。

マリコさん
マリコさん

ダメダメ。そうやっていつまでも布団に潜ってるから、いつもいつも遅刻するのよ!

タロウさん
タロウさん

仕方がないなあ。

タロウさんは、テレビの前に行って、座り込みます。

マリコさん
マリコさん

何してるの!早く顔を洗って、歯を磨いて!さっさと動きなさい!

タロウさんは渋々動いて、歯を磨いて、顔を洗います。そしてまたテレビの前に座ります。

マリコさん
マリコさん

顔を洗ったら、着替えでしょ!早く着替えなさい!パジャマで行くの?

タロウさん
タロウさん

寒いから着替えたくないよお。

パジャマでも良いじゃん。

マリコさん
マリコさん

何言ってるの。そんな子どこにもいないわよ。早くしなさい!

ようやく着替え終わって、またテレビの前に座っています。

マリコさん
マリコさん

時計が見えないの?もう8時よ!わかってる?

タロウさん
タロウさん

8時なのは見ればわかるよ!テレビにも8時って。

マリコさん
マリコさん

だから、8時になってるのに、まだ朝ごはんを食べてないでしょ!

早く食べなさいってことよ。

タロウさん
タロウさん

それならそうと言ってくれれば良いのに。

8時よって言われてもなあ・・・

タロウさんは、朝食を食べ始めましたが、テレビを見ながらなので、なかなか進みません。

マリコさん
マリコさん

タロウ!いつまで食べてるの!8時20分よ!

学校は8時30分から始まるのに!

今日も遅刻よ!

タロウさん
タロウさん

わかったよお。

トイレ行ってくる。

トイレに入ったタロウさんは、それから10分間も出てきませんでした。

マリコさん
マリコさん

タロウ!もう8時半なのに、何してるの?早く出てきなさい!

タロウさん
タロウさん

うるさいなあ。

そんなに怒鳴られたら、出るものも出なくなっちゃうよ。

そう言いながら、トイレから出て手を洗って・・・

タロウさん
タロウさん

お母さん、プリントがないよお。

昨日やったのになあ・・・

マリコさん
マリコさん

えーっ!今日の用意してなかったの?

プリントはリビングでやってたでしょ?

リビングにあるんじゃない?

タロウさん
タロウさん

そうだった。リビングね。あった、あった。

それから、ランドセルに今日の用意を入れて、

タロウさん
タロウさん

行ってきます!

と出て行ったのは、9時でした。

マリコさん
マリコさん

やれやれ、今日も遅刻ね!

ヨシオさん
ヨシオさん

今のロールプレイを見た感想を言ってみよう。

直人
直人

タロウさん、ヤバいよ。遅刻したってあんまり気にしてない気がする。

 

優也
優也

そうだよな。あの余裕は、ある意味羨ましい。

茉莉花
茉莉花

違うでしょ。

タロウさんは、遅刻しないようにしなくちゃって気持ちが無いのよ。

だからマイペースで動いているんだわ。

潤子
潤子

でも、お母さんが言わないと、きっとテレビの前に座って、ズーッとテレビ見てるかもよ。

茉莉花
茉莉花

ホントホント。

時間なんか気にして無いから、好きな番組を延々見ていそう。

謙

お母さんも朝から大変だよね。

言わなくちゃ動かないし、でもイライラが募るよね。

相当なストレスになってると思うな。

翔太
翔太

でも、タロウさんの気持ちもわかるな。

俺も似たようなもんだもん。

何で急がなくちゃいけないのかイマイチわかんないもんな。

莉奈
莉奈

えーっ!

だって学校に遅刻するからじゃないの。

遅刻は嫌でしょ?

翔太
翔太

そうかな?

別に良いじゃん。

遅刻したって死ぬわけじゃないし・・・

恭平
恭平

そうだよな。

遅刻したって別に困らないよな。

だいたい、お母さんだって、朝からガミガミ言い過ぎだよ。

自分でストレス溜めてるんじゃないかな?

莉奈
莉奈

なんて事言うのよ!

遅刻しないように頑張ってるお母さんのこと、そんな風に言うなんて酷いよ!遅刻しないようにするのが大切なんじゃない?

ちゃんと自分で時間を守れるようにならないと。

恭平
恭平

怖いなあ。そんなに怒らなくても・・・

秀

でも、本当に遅刻しないようにすることは、大切だと思うよ。

だって、学校では時間割があって、勉強の時間や休み時間も決まってるじゃないか。

それは、学校のルールなんだと思うよ。

みんなが自分勝手にしていたら、メチャクチャになっちゃうよなあ。

京子
京子

そうよ。実際にみんなで生活するんだったら、ルールがいるし、時間を守るっていうのも1つのルールだと思うな。

考えてみよう

ヨシオさん
ヨシオさん

みんな、良い意見をありがとう。

正直に気持ちを言ってくれた翔太も恭平も素晴らしいよ。

そんな意見もあるよな。

でも、時間を守るっていうのも、1つのルールだね。

自分がゆっくりやりたくても、みんなと一緒に行動するなら、守らないといけないんじゃないかな?

それじゃあ、タロウさんはどうしたら良いんだろう?考えてみようか。

信二
信二

時間を気にしてないんだから、まず時間を意識するところからやらないと無理だと思うよ。

京子
京子

お母さんが、1度放っておいたらどうかな?

秀

そしたら、延々と寝てるよ、きっと。

それで、もう学校に行かないって言い出すかも。

翔太
翔太

そうか。

でも遅刻しないようにするには、自分で遅刻しないぞって思わないと上手く行かないと思うんだよな。

莉奈
莉奈

ちょっと聞くけど、恭平は、遅刻してるの?

恭平
恭平

いや、あんまり。

時にはギリギリでダッシュする時もあるけど、間に合ってるからなあ。

信二
信二

なんで間に合うように行けるの?

恭平
恭平

そりゃあ、父さんが睨みを効かせてるからなあ。

父さんは遅刻が大っ嫌いなんだ。

遅刻をする人間は自己管理ができていないそうだ。

そういう人には仕事を任せられないそうだよ。

莉奈
莉奈

なるほどね。

社会に出たら、もっとシビアになるってことだね。

翔太もよく聞いといた方が良いかもよ。

翔太
翔太

わかったよ。

恭平のお父さん、良いこと言うなあ。

お母さんはなんて言ってるの?

恭平
恭平

母さんは、ニコニコしながら料理を作ったり、父さんにコーヒー淹れたりしてるよ。

早く早くって言わないな。

京子
京子

凄い!

それでも、ちゃんと間に合ってるんだから、恭平も凄いじゃない。

秀

タロウさんは、言われることに慣れてるから、もうお母さんの言葉はBGMになってるんだと思うな。

信二
信二

そうそう、あんまりおんなじこと言われると、耳が拒否っちゃうよな。

恭平
恭平

耳タコって状態かな?

京子
京子

タロウさんは、一度家族と話し合った方が良いと思うんだけど。

遅刻しないためにどうしたら良いのか?

具体的に何をするのか?

信二
信二

そうだよね。

恭平のお父さんに言ってもらったら良いかも!

まあ、無理か。

莉奈
莉奈

具体的にって言ったけど、どんなこと?

京子
京子

そうねえ、私はタイムスケジュールを決めてるんだ。

いつ起きて、朝の支度は何分まで、ご飯は何分までっていう風に表にするの。

それをリビングの時計の下に貼ってるんだ。

莉奈
莉奈

それ、良いかもね。

自分で時間を決めて、時計の下に貼っておいたら、確認しやすいよね。

翔太
翔太

凄い工夫してるんだなあ。ビックリした。

京子
京子

慣れてくると、自然に身体が動いてるよ。

ルーティンみたいなものでしょ。

恭平
恭平

ルーティンかあ。

スケジュール表を作るポイントは?

京子
京子

家を出る時刻から逆算するの。

それまでにやっておかないといけないことを書き出して、それならいつ起きなければいけないか?最後に点検する時間を含めると、いつまでに着替えたり顔を洗ったりという朝の支度をしないといけないか、ご飯は何分ぐらいで食べないといけないのか?

色々考えて作っていくの。

信二
信二

そんな細かいの無理そうだよなあ。

その通りに行かない時だってあるだろ?

トイレの時間が長くなってしまうとか、朝食ができていないとか、色々あるよなあ。

そんな時はどうするの?

京子
京子

修正案を作れば良いのよ。

1度作ってから、実行してみて、無理だったら、もう少し時間に余裕を持たせるの。

何時何分まで決めると、自分でしんどくなるから、大体このぐらいの時間までにこれこれをやっておこうみたいな、ゆる〜いスケジュールね。

莉奈
莉奈

ゆる〜いスケジュールってのは良いねえ。

大体の目安ってことだよね。

早くできたらその分余裕ができるもんね。

秀

僕はアラームをセットしとくんだ。うっかり寝坊しないようにね。

翔太
翔太

目覚まし時計だよね。

僕もやってるけど、消してまた寝ちゃうんだ。

それで、起きてビックリ!ってことしょっちゅうあるよ。

信二
信二

それじゃあ、スヌーズ機能を使ったら良いんだよ。

一度消してもまた鳴るから。

それはもうしつこいのなんのって!

翔太
翔太

そんなのがあるのか。

起きるまで鳴り続けるんだな。

それじゃもう寝てられないよなあ。

秀

タロウさんも、一度挑戦してみたら良いと思うな。

家を出る時刻を決めて、逆算するんだよね。

そしたら、起きる時刻もわかるし・・・

京子
京子

私は、何度も修正しているの。

上手く行かない時は、何が原因なのかを突き止めて、微調整するのよ。

例えば、ご飯に時間がかかるなって思ったら、他のスケジュールを見直して、家を出る時刻に間に合うように変更するわけ。

私の場合は、支度に時間がかかるのよね。服を選んだり、髪型を決めたり・・・

恭平
恭平

さすが女子。

俺なんか1分もあればできるよ!

服は、前の日に準備しとけば良いし。

莉奈
莉奈

なるほどね。

前の日から選んでおいたら、楽よね。

恭平いいこと教えてくれてありがとうね。

恭平
恭平

まあ、女子に比べたら、俺の服なんてしれてるから、準備も簡単だけどな。

ヨシオさん
ヨシオさん

みんな具体的な意見をありがとうな。

スケジュール表を作って、時計の下に貼っておく。

アラームはスヌーズ機能も使う。

服は前の日に準備しておく。

こんなところかな?

秀

あと、当たり前だけど、宿題は前日に済ませておく。

時間割も前日に用意しておく。

これは大事だよな。

莉奈
莉奈

給食セットとか特別に必要な物も、前日に用意しておいたら忘れ物もなくなると思うわ。

恭平
恭平

そうだよな。

俺いつも給食セット忘れてるし、それを言うなら、学校に忘れて帰ってくる方も多いなあ。

母さんがいつも用意してくれている引き出しが空っぽってこともあるんだ。

父さんは、物の管理も大切だって言うけど、すぐに忘れちゃう。

京子
京子

それは困るわね。

私は、ランドセルの開けるところの裏に表を貼っておくのよ。

学校から持って帰る物をリストにして書いておくの。

帰る時にチェックすると忘れずに持って帰れるわよ。

秀

凄いなあ。

どこでそんなこと思いついたわけ?

京子
京子

私も給食セットよく忘れてたから、お母さんがアドバイスしてくれたの。

いく時に持っていく物のリストと帰る時に持って帰るリストを貼っておくと、忘れ物が激減したわよ。

恭平
恭平

なるほどな。

俺なんか時々学校に置いてある給食セットをまた使うことがあるんだ。

ケチャップとかついててヤバいことも。

恭平の話を聞いてみんな大笑いしました。

やってみよう

今回は、みんなの意見から、スケジュール表を作ってみることのなりました。

起きる時刻
朝の支度(洗面・歯磨き・着替えなど)
朝ごはん
点検をする
家を出る時刻

このような表を用意して、自分だったらできるだろうと思う時刻を書いていきます。

家を出る時刻は、学校までの距離(かかる時間)から逆算して、少し余裕をもって決めます。

家を出る時刻が決まったら、逆算をしていって、起きる時刻を決めます。

小学校高学年では、自分で決めていけるようなら、自分で決めます。

発達段階に応じて、保護者と一緒に、決めていく方が良い場合は、一緒に決めます。

保護者が決めてしまうと、自分でやるという意識が減少するので、あくまで自分で決めさせます。

中には絶対に守れそうもない時刻に決めてしまう子どももいますが、「それは無理よ。」と先に言ってしまうのではなく、「やってみて難しかったら修正していこうね。」と言って、一度やってみる方が本人も納得できる計画を立てることができるようになります。

ヨシオさん
ヨシオさん

それぞれのスケジュール表ができたかな?

一週間やってみて、次のSSTで様子を聞くことにします。

自分でやってみて、上手くいかない時には、修正してね。

おうちの人にも感想を書いてもらおうと思うんだけど、良いかな?

ホームワークとして、持って帰ることになりました。

練習しよう

レインボータイムで遊ぶ物を使って、ゲームをします。

例えば、レインボーラー(同じ大きさ、同じ形の木の板を使って色々な物を作る遊び)をみんなですることにします。

 

ユウコさん
ユウコさん

今から、みんなの好きなレインボーラーをします。

好きな物を作って良いですよ。

ただし、時間を決めます。

今から20分間で作り上げてください。

時計を見てね。

今は3:20だから、3:40になったら、終わりの笛を吹きます。

できていても、できていなくても、すぐにやめてくださいね。

約束できますか?

レインボー塾の子ども達
レインボー塾の子ども達

はーい

みんなは、それぞれに、木の板を並べたり、積み上げたりして、自分の世界に没頭していきます。

時々、スタッフが、10分経過など、時間を知らせていきます。

ユウコさん
ユウコさん

後5分で終了です。

できていない人は少し急ぎましょう。

5分からは、4分前、3分前、2分前、1分前とカウントダウンしていきます。

ユウコさん
ユウコさん

ピー!

はいそこまでです。

これで、20分以内に作業を終えることを練習します。

なるべく子ども達が楽しんで没頭できる遊びが良いです。

5分前の掛け声をきちんと聞けるかどうか?これが大切です。

子ども達は、集中して遊んでいる時に、時計を見ることはなかなか難しいです。

声をかけて、自分でできるようにすることが重要です。

ユウコさん
ユウコさん

今日は、みんなできたねえ。

途中の人もちゃんと止められて凄いです。

頑張ったねえ。

もしも、夢中で作っていて止められない子どもがいたら、その子のそばに行って声をかけます。

ユウコさん
ユウコさん

〇〇君、一生懸命作ってるね!

素敵な作品ができてるね。

でもね、もう約束の時間だから、一旦手を止めようか。

それでも、嫌がって手を止めようとしない場合は、

ユウコさん
ユウコさん

〇〇君、今はまだ止められないんだね。

それなら、何分延長して欲しい?

みんなに聞いてみようか?

後10分欲しいと言われたら、10分たったら途中でも止める約束をして、10分延長で良いかをみんなに聞きます。

OKなら、みんな10分延長して遊びを続けます。

でも、10分たったら、途中でも止める約束をしているので、次の10分後はきちんと止めさせます。

時間は見えなくて、わからないので、残り時間がわかるような時計を使うのも1つの手法です。

ストップウォッチを活用しても良いと思います。

ユウコさん
ユウコさん

これから、後片付けをします。

時間は5分です。

みんなで協力して、箱の中に板を入れましょう。

怪我をしないように、板は投げないようにね。

よーい、スタート!

今度は、片付けを5分でやります。1分前の掛け声をかけます。

ユウコさん
ユウコさん

ピー!終了です。

残っていませんか?自分の周りや友達の周りの確認をしてね。

このようにして、自分達の活動を時間に結びつけて体験していくことで、時間を意識した行動ができるようになっていきます。

振り返り

ユウコさん
ユウコさん

今日のSSTで分かったことや、思ったこと、感想などを言いましょう。

翔太
翔太

僕は今まであんまり時間ってものを意識してなかったけど、今日から意識するようにしようと思ったよ。

恭平
恭平

スケジュール表を作ったのは初めてだけど、夜寝る前も作ったら良いかなって思ったよ。

いつもダラダラゲームやってて、お風呂に入れってうるさく言われて、寝る時間が遅くなって、朝起きれないっていう繰り返しだからなあ。

莉奈
莉奈

私はスケジュール表は作ってたけど、いつも細かく決めてたから、できないとすごいストレスが溜まって嫌になってたんだよね。

今日の話を聞いてもっと余裕を持った表にしていこうと思った。

京子
京子

スケジュール表って、1度作ったら終わりじゃなくて、やってみて上手くいかない時は、何回も修正して、自分ができるものにしていくことが大切だってわかった。

これって色々なことに応用できるよね。上手くいかない時は、修正すれば良いって。

ユウコさん
ユウコさん

みんな凄いことまで気がついたのね。良かったです。

これからも、上手くいかない時は、どんどん修正して、自分のものにしていってくださいね。

SST教材

SST「時間の使い方は?」

学校での時間の使い方(給食の準備など)についての学習課題が書いてあります。

SST「時間の使い方は?」ワークシート朝バージョン

朝学校に行くまでの時間の使い方(スケジュール表)の例です。

子どもの発達段階や課題に応じてカスタマイズしてください。

SST「時間の使い方は?」ワークシート

学校から帰ってからの時間の使い方(スケジュール表)の例です。

子どもの発達段階や課題に応じてカスタマイズしてください。

 

今回は、SSTターゲットスキル 時間を守ろうのついてご紹介しました。

時間というのは目に見えないし、意識しにくいものです。

しかし、社会生活を営むためには、時間を守らなければいけない場合が多いです。

子ども達に、時間を意識させて、時間内に行動できるようにしていくにはどうしたら良いのか?を考えながら、支援を行います。

その際に、大切なことは、楽しく体験することだと思います。

 

SSTのターゲットスキルは、まだまだ沢山あります。

少しずつ紹介していきますね。

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