SST 頼み方は?(教材入り)

SOSを出すのは、難しい?

私達は、困った時にSOSを出します。

例えば、車の鍵を中に閉じ込めてしまった時、修理を頼んだり、JAFを呼んだりします。

何か困った時には、誰かに相談したり、解決できそうな手段を知っている人に助けを求めたりして、問題を解決していこうとします。

発達障害などで「生き辛さ」を感じている子ども達は、助けを求めるのが苦手な子が多いです。

どうやって助けを求めたら良いのかわからない、誰に助けてもらったら良いのかわからない・・・など様々な理由があると思います。

助けを求める代わりに、暴言や暴力に訴える子もいます。

助けを求める方法がわからずに、黙ったまま自分の殻に入ってしまう子もいるでしょう。

助けを求めるのは、自分が負けたように思って、頑なに避ける子もいます。

SSTで助けを求める方法を学ぶ

SSTでは、様々な場面を通して、助けを求めても良いということを教えていきます。

例えば、ゲームの中で助けを求めても良いことにしています。

ジェスチャーゲームで、やり方が分からなかったら、ヘルプカードを出して、お助けマンを呼んで良いというルールにしています。

その他のゲームやロールプレイでも同じです。

いつでも、ヘルプカードを使って良いし、お助けマンになっても良いのです。

こういう風に、日頃から助けを求める練習を積み重ねていれば、どんな時にSOSを出せば良いのかを自然に学んでいきます。

SST教材

ヘルプカード

お助けマンカード

これらのカードは、いつでも使えるように用意しておきます。

助けを求めることに抵抗がなくなった段階で、頼み方を教えていきます。

SSTで頼み方を学ぼう

ロールプレイを見よう(問題提起)

スタッフがロールプレイを見せます。

ロールプレイ

ヨシオさんは消しゴムを忘れてしまいました。

隣の席のユウコさんに

ヨシオさん
ヨシオさん

消しゴムかせ!

と言って、奪ってしまいました。

ユウコさん
ユウコさん

まだ使ってるのに・・・

ユウコさんは困った顔で言いました。

考えてみよう

マリコさん
マリコさん

今のロールプレイを見て、気がついたことや思ったこと、感想などを発表してね。

子どもA
子どもA

貸せって命令するのはどうかなあ。

子どもC
子どもC

そうだよ。貸せなんて言われたら貸したくないよ。

子どもB
子どもB

まだ使ってたのに奪っていくなんて酷いよ。

マリコさん
マリコさん

そうだよね。

それじゃあどんな風に言ったら良かったと思う?

子どもA
子どもA

貸してって言えば良い。

子どもD
子どもD

使い終わったら貸してっていう方が良いと思うな。

子どもE
子どもE

消しゴム持ってくるの忘れたからって理由をいう方が良いと思う。

子どもC
子どもC

そうそう、何故貸さなくちゃいけないのって思ってしまうよね。

子どもB
子どもB

消しゴム忘れたから、貸して!

子どもD
子どもD

消しゴム忘れちゃったから、使い終わってからで良いから、貸してくれる?

子どもA
子どもA

すごいなあ。

そんなこと、思いもしなかったよ!

子どもB
子どもB

ユウコさんはまだ良いよって言ってなかったのに、勝手に奪ってたのは良くないと思うよ。

子どもD
子どもD

そうそう、返事を聞いてからだよね。

子どもC
子どもC

断られたらどうする?

子どもA
子どもA

何回もしつこく言ったら、相手が怒っちゃうと思うな

ユウコさんが、ホワイトボードにみんなの意見を書いていきます。

気持ちの良い頼み方

1相手が困らないかどうか考える
2命令ではなく、お願いする
3頼みたいこと、その理由をはっきりする
4ちゃんと返事を聞く
5しつこく言わない

やってみよう

子供達同士でロールプレイをします。

マリコさん
マリコさん

それじゃあ、さっきみんなで考えた言い方でロールプレイをやってみようか。

子どもE
子どもE

消しゴム忘れちゃったから、使ってからで良いから貸してくれるかな?

子どもD
子どもD

良いよ、ちょっと待っててね。

はい、どうぞ

マリコさん
マリコさん

ロールプレイをやってみて、どうだった?

子どもB
子どもB

今の言い方だと、貸してあげようかなって思う。

子どもA
子どもA

そうだね、怒った言い方や威張った言い方だと貸してあげたくないよね。

今の言い方だと貸しても良いかなって思うね。

練習してみよう

何かを頼む場面が書いてある「場面カード」を山札に置きます。2人1組でチームを作って、頼む方と頼まれる方に分かれます。

場面カード1

Aさんが読んでいる本をBさんも読みたいと思っています。

子どもB
子どもB

その本面白そうだね。

僕も読みたいから貸して!

子どもD
子どもD

今読んでるから、読み終わってからでも良いかな?

子どもB
子どもB

良いよ。

ユウコさん
ユウコさん

やってみてどうだった?

子どもB
子どもB

本当はいますぐ読みたいのになって思ったよ。

でもまだ読んでる最中だから仕方ないかなって思った。

ユウコさん
ユウコさん

見ている人はどう思ったかなあ?

子どもA
子どもA

そうだよね。

読んでる人にしたら、今読んでるんだから貸してあげたくないよね。

子どもD
子どもD

相手の様子を見るってこのことかあ。

今初めてわかった。

ユウコさん
ユウコさん

それじゃあ、続けてやってみようね。

色々な場面での頼み方をそれぞれでやってみます。

必ず見ている人の感想も聞きます。

良かったら、「良いね👍カード」を出します。

アドバイスがある時は、「チョコっとアドバイスカード」を出して、意見を言います。

SST教材

いいねカード

チョコっとアドバイスカード

幼児や低学年のSSTの例

幼児や低学年の子どもなら、色鉛筆セットを1つ用意して、みんなで絵を描いたり塗り絵をしても良いでしょう。

色鉛筆セットが1つなので、自分が使いたい色を他の人が使っていたら、借りなければならない状況を作って頼み方の練習をします。

幼児や低学年の子ども達には、できるだけ具体物を使って、日常生活でありそうな場面を設定し、体験して学習する方が、実際の生活で汎化しやすいです。

振り返ってみよう

マリコさん
マリコさん

今日のSSTを振り返って、わかったことや、思ったこと、感想なんかを発表してみようね。

子どもA
子どもA

頼む時って、相手の様子を見なくちゃいけないって、初めてわかった。

子どもB
子どもB

そうそう、考えもしなかったよ。

子どもC
子どもC

命令しちゃいけないことがわかった。

子どもD
子どもD

偉そうに言ってもダメなんだよね。

子どもA
子どもA

理由を言うってこと今まで全然してなかったから、次からは言おうと思った。

子どもC
子どもC

断られたらいっつもキレてたけど、キレちゃダメだってわかった。

子どもB
子どもB

でもキレるよなあ。多分

子どもD
子どもD

しつこく言わないって言われたけど、なんで?なんで?っていつも言ってたなあ。

子どもE
子どもE

難しいよね、断られた時って・・・でも頼み方はわかったと思う。

このようにして、学習のまとめをします。

SST 教材 頼み方は?

SST頼み方ワークシート

頼み方のワークシートです。「考えよう」のコーナーで使っても良いし、スタッフが覚書として持っておいても良いです。

基本、ワークシートは補助教材です。

書くことが苦手な子どもも多いですので、書くことを強要しないで、言葉で言ったらOKとします。

SST頼み方

頼み方の場面カードです。

様々な頼む場面が書いてあります。

もっとたくさん思いついたら、カードを増やしても良いと思います。

パワーポイントで作ってあります。

参考になれば良いと思います。

 

今回は、SST 頼み方は?というテーマのご紹介をしました。

SSTにはまだまだたくさんのテーマがあります。

少しずつご紹介しますね。

 

 

 

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