家庭環境が子ども達の成長にとても大切
子どもが生まれてから成長する過程で、家庭の環境はとても大切です。
当たり前みたいに思いますが、実は見過ごされやすいんです。
外からでは見えない家庭の内情
外からでは、家庭の状況は見えにくいので、子ども達がどのような環境で育っているのか内情を知る必要があります。
一見何の問題もなさそうな家庭でも、実は父親のDVがあったり、借金を抱えて困窮していたり、母親がアルコール依存症だったり、なかなかハードな環境で日々暮らしている子どもは少なくありません。最近では虐待も珍しくありません。
父親は仕事で殆ど家にいない。
母親は子どもの教育に異常なまでに情熱を燃やしている。
兄弟格差がある。
姑が同居していて、母親は介護に明け暮れて疲れ果てている。
夫婦共働きで忙しく子どもは夕食もコンビニのおにぎりを1人で食べている。
夫婦仲が悪く喧嘩に明け暮れている。・・・などなど、子どもがおかれている環境の内情は悲惨なものかもしれません。
そういう家庭も、外から見ると、家族で楽しく暮らしているようの見えることが多いです
『生き辛さ』を感じている子どもの親は『育てにくさ』を感じている
発達障害などで『生き辛さ』を感じている子どもの家庭では、『育てにくさ』を感じている親が多いです。
発達障害などで『生き辛さ』を感じている子どもは、癇癪を起こして泣きわめいたりします。
こだわりが強くて妥協することができないので日々問題を起こしたりもします。
知覚過敏で抱っこされるのを嫌がったり触られたりすることを嫌います。
自分の世界に没頭していてなかなか言うことを聞かなかったりすることもあります。
本当に育てていくが大変です。
親は子どもが小さい頃から心配の連続で、どうしたら良いのかわからずに困り果てています。
我が子ながら理解に苦しむ言動に振り回されて、ストレスは溜まる一方でしょう。
母親が孤立無援に!
家族のみんなが理解してくれれば、まだ救われますが、大抵は、母親が孤立無援で頑張っている状況が多々あります。
父親は「俺も小さい頃こんな感じだった。心配ないよ。」と取り合ってくれない。
姑や親戚の人たちは、「あなたの育て方が悪いんじゃない?」と母親を責めてくる。
近所の人は「また、お宅の子どもがうちのガレージで水を流してる。ちゃんと躾けてください。」などと苦情を言ってくる。
学校の他の保護者からは「お宅の子どもに殴られてうちの子の顔にアザができている。どうしてくれるのよ!」と責められる。
学校からは「今日はこんなことをしました。お家でも注意してください。」などと担任の先生から電話がかかる。
保護者会では、問題を起こす子の母親だというレッテルを貼られ、白い目で見られる。
どこにも逃げ場がありません!
1人悔しさや悲しさを抱え込んで憂鬱な気持ちで日々過ごしていると、ノイローゼにもなります。
笑顔がなくなって、常にイライラして、少しのことでも感情が爆発してしまうことも不思議ではありません。
家族の理解と協力が大切
せめて、父親が子どもの実態を理解して、母親の協力者になってくれれば、母親のストレスフルな毎日も少しは改善されます。
また、親戚や姑、舅が理解してくれると、子育てもやりやすくなると思いますが、現実には難しい場合が多いです。
親は生きていくことに精一杯(片親家庭は特に)
ましてや、母子家庭の母親は重すぎる重責を抱えて生きています。
子どもを育てるために、仕事も家事も1人で頑張っているのですから大変です。
実の親が側にいて手伝ってもらえるならまだしも、実家には帰れず、1人で頑張っている親はたくさんいます。
父子家庭の親も同じです。
日本の社会では、まだまだ男性が子育てをするのに理解がある会社は少ないです。
多くの男性は、仕事のために夜遅くまで働いている現状です。
保育園のお迎えのために、仕事を早く抜け出すことは難しいでしょう。
小学校に入ったら遅くまで預けることもできないので、1人留守番を余儀なくさせることになります。
仕事をしながら、家事や育児を1人でしていくのは、並大抵の努力ではないと思います。
ましてや、只でさえ育てにくい子ども達です。
急いでいるときに癇癪を起こしたり、時間を気にすることもなく朝の支度をしないなど、許せない行動が続くと、ついカッとなって怒鳴ってしまうこともあるでしょう。
子ども達のランドセルの中
子ども達は、ランドセルの中に、教科書やノート以外にも、それぞれの家庭環境を背負って学校に行きます。
「昨日は親同士が大きな声で喧嘩をしていて、心配で眠れなかった」という現実が、ランドセルの中に入っているのです。子どもは暗い顔で登校してくるかもしれません。
「昨日は美味しい夕飯だった。お母さんが笑顔で話しをしてくれた」という現実がランドセルの中に入っていたら、子どもも元気になるでしょう。
保護者支援は必要不可欠
発達障害などで「生き辛さ」を感じている子ども達を育てている保護者は、子どもが小さい頃から苦労の連続です。
学校の先生や、他の保護者には理解してもらえない辛さを抱えながら、毎日暮らしています。
そんな育てにくさを感じている保護者には、支援が必要不可欠なのです。
レインボー塾の保護者支援
教育相談
レインボー塾では、教育相談を行なっています。
専任のカウンセラーが保護者の悩みを聞き、解決に向けて支援します。
私は塾長として、教育相談に立ち会ったり、保護者の希望があれば話を聞いたりしています。
保護者からの希望がある場合は、支援しやすいです。
保護者自身に悩んでいる自覚があるからです。
何とかしようという意欲があれば、解決への道もそう遠くはないです。
しかし、保護者から相談の依頼がない場合でも、子どもの様子を観察して必要だと感じたら、保護者に声をかけています。
保護者だけではなく、学校の先生や他の関係者からも話を聞く場合もあります。
子どもの身近にいる人々の理解がとても大切だからです。
教育相談の内容は、秘密厳守です。
レインボーサロン
保護者は、子どもたちを連れてきて、子ども達がSSTをしている間、レインボーサロンで待っています。(個別指導の子どもの保護者は2階のレインボーサロンを使っています)
レインボーサロンというのは、ソフファーが置いてあるリビングのような部屋です。
コーヒー、紅茶、ハーブティーなど飲み物が用意されていて、保護者は自由に飲むことができます。冷蔵庫の中には、冷たい飲み物があります。クッキーなどのちょっとしたお菓子もあります。
子育て支援の参考に、関連する本や雑誌も置いてあります。療育関係のパンフレットやポスターも提示されています。パソコンが置いてあって、いつでも検察できるようになっています。
保護者は、同じように育てにくい子どもを持っている親同士なので、自然に話をし始めます。
日頃困っていることや、学校での対応の話。家族についての話。学校の保護者会での話。子どもについての悩み・・・・などなど。
同じ悩みを持っている保護者同士です。共感することも多いでしょう。
年上の子どもを持っている保護者は、経験豊富です。こんな時はどうしたか?どうなったか?など自分の経験を話して、相談に乗ったりします。
学校の保護者会では話せないことも、ここでは心置きなく話すことが出来ます。
同じ悩みを持つ保護者同士が、自分は1人ではないと感じる場所でもあります。
レインボーサロンは、日頃傷つくことが多い保護者の癒しの場となっています。
レインボー塾の保護者会
レインボー塾では、保護者会を年3回〜5回実施しています。
保護者の方からの希望で発足されました。
保護者会のメンバーは保護者全員ですが、保護者会に参加するのは任意です。
会長は希望者を募って行います。だいたい高学年の子どもの保護者がなることが多いです。
保護者会は保護者が集まりやすい曜日・時間に行います。
SSTをやっていない時間に、レインボーサロンで行うことが多いですが、2階のキッチン・ダイニングルームで行うこともあります。
会の目的は、保護者同士の連携です。保護者が交流してお互いに支え合うことが必要です。
保護者会では、問題の解決策を考えたり、療育等の情報を交換したり、学習会(例 感覚統合では作業療法士の講演を聞く等)をしたり、親子交流会の企画をしたり・・・様々な取り組みを行なっています。
他の関係機関との連携として、教育関係者や福祉関係者、医療関係者などの話を聞く講演会を企画したりもします。
私はいつも通り、オブザーバーとして参加しています。
ペアレント・トレーニング
希望者には、ペアレント・トレーニングを実施しています。(ペアレント・トレーニングの詳しい内容は、また別の機会に説明します。今回は概要のみ説明します)
ペアレント・トレーニングは、アメリカからきた行動療法の一種ですが、非常に有効なプログラムです。
レインボー塾では、7回のセッションで行なっています。
「親が変われば子どもも変わる」というキーワードで実施します。
基本的な考え方
育てにくい子どもを持つ親は、子どもがやった悪い行動に目がいきます。
それを注意したり叱ったりします。
そうすると、子どもは、自分は嫌われている、愛されていないと感じ、自尊感情がドンドン下がっていきます。やる気もなくし、反抗的になったりします。
問題行動が増えて、それをまた親が叱ります。
親も子育てに自信をなくし、イライラして、子どもの悪い行動ばかり注目してしまう。
そしてまた叱って・・・というような負のスパイラルに陥ってしまうのです。
子どもの良いところ(いい行動)に注目してそれを認め、褒めることで子どもが変わっていって、親子関係を滑らかにしていくプログラムです。
プラスのスパイラルを作っていくと考えるとわかりやすいと思います。
その為に様々な取り組みを学習していくプログラムです。
レインボー塾のペアレント・トレーニングは、希望の保護者(6人〜8人)、カウンセラー・スタッフ・私で行います。
私はあくまでもオブザーバーとして参加します。
カウンセラーの1人が中心となって、セッションを進行していきます。
何回か進むうちに、保護者の考え方が変わってきたり、表情が明るくなったりするのを感じます。
子どもとの関係が良くなってきて、子どもの行動も変わってきます。
親子交流会
レインボー塾では、年1回8月に希望する保護者と子どもの、親子交流会を実施しています。兄弟も参加して良いことになっています。
イベントでは、バーベキューをしたり、ハイキングに行ったり、クッキングをしたり、スポーツをしたり、保護者会で企画立案した内容を実施します。
保護者は、家では見られない子どもの様子を垣間見ることが出来ます。他の子どもと一緒に遊ぶ子どもの姿は、子どもを理解するのに良い機会です。
例 バーベキュー
レインボー塾の庭には「バーベキュー」設備があります。
テラスには椅子やテーブルもあります。お茶を飲んだりお菓子を食べたりできます。
広い芝生の庭もあります。バドミントンやドッジボールなどスポーツを楽しむこともできます。
バーベキューは親子で準備をします。
親が具材を切ったり、盛り付けたりします。
その後はバーベキューの具材を焼いていきます。お父さん達も大活躍です。
子どもたちは、庭にシートを引いたり、プラスチックの椅子を並べたり、テーブルを整えたりします。
親子でバーベキューを食べます。
それぞれの親子が交流する機会です。一緒に話しをしながらバーベキューを楽しみます。
芝生でバトミントンやドッジボールをする親子もいます。
ハーブティーなどを飲みながら寛いで話をしている親もいます。
「親子で一緒に楽しむ」のが第1目的です。
さらに「他の親子と親しくなる」ことも交流会の大きな目的です。
半日程ですが、楽しい時間が過ごせて、みんな笑顔で帰って行きます。
家庭訪問
レインボー塾では、家庭訪問を実施しています。
家庭訪問をする時に大切なことは、家族と仲良くなることです。
どんな環境で育っているのかを見ていくわけですが、親や兄弟達と仲良くならなければ、本当の姿は見えてきません。
家庭訪問でチェックすること
どんな街に住んでいるのか?(住宅街・商店街・農村・工場街)
どんな家に住んでいるのか?(マンション・団地・戸建・集合住宅)
家族は何人で、子どもの位置はどこか?(長男・末っ子・大家族)
親子関係は良好か?(甘えている・反抗的・愛情を感じている)
兄弟関係は良好か?(兄弟で格差はないか、仲が良いか)
近所の住人とは良好か?(助けてもらえる存在か?)
子どもの部屋はどうか?(1人の部屋なのか兄弟と一緒なのか?)
ペットは飼っているか?(愛情を注げる対象がいるか?)
家族で一緒にすることは何か?(ドライブ・釣り・運動・ゲーム)
質問のように次々と聞いていくのではなくて、雑談をしながらさりげなく聞いていきます。
親は子どものことをどのぐらい知っているのか?
子どもの得意なことは何か?
子どもの大好きなものは何か?
子どもの苦手なことは何か?
子どもが困っていることは何か?
子どもが欲しいものは何か?
子どもの望みは何か?
案外、子どものことをよく知っているようで、実際は、あまりよくわかっていないことが少なくないです。
親が思っている「子どものこと」と、子ども本人が思っている「子どものこと」がズレていることもあります。
親は自分の願望を子どもの上に乗せて、「この子はこんな子だ」と思い込んでいる傾向があるので、実際の子どもの思いとは違ってきます。
そこに気がつかないと、親子関係が微妙に歪みを生じます。
ズレが大きくなるほど、子どもは「親は自分をわかってくれない」と感じて、苦しみます。
レインボー塾の家庭訪問のやり方
レインボー塾では、家庭訪問を年に1回行っています。
現在レインボー塾に通っている子どもの数はキッズも含めて、SSTが36人、個別指導が30人で合計66人です。その内兄弟が何組かいます。
家庭訪問には、スタッフが行きます。
SSTスタッフ(5人)、個別指導スタッフ(5人)が、担当の子どもの家庭訪問をします。
日時は、親の希望制です。(塾の時間以外はいつでもOKです)
だいたい4月~8月ぐらいまでを家庭訪問期間とします。希望制なので9月以降も実施するときもあります。
できれば、家族がみんな揃っている時間が良いです。
土曜日や日曜日でも構いません。
ある家庭では、「日曜日に庭でバーベキューをするから、その時に来てほしい」と言われました。モチロン喜んで出かけました。
ゆっくりと時間をかけて、家族と仲良くなっていきます。
子どもを取り巻く環境を観察することも大切ですが、子どもと家族との関係が一番大事だと考えています。
家族と敵対関係になってしまったら、子どもの支援は難しくなります。何を言っても、聞いてもらえなくなります。
家族はどんな人たちで、何を望んでいるのか?
困っていることはないか?
何か手助けできることはないか?
そんなことを考えながら一緒にご飯を食べたり、おしゃべりをしたり、犬の散歩についてドッグランに行ったりしています。
「いつでも困った時は相談してくださいね!」をさようならの代わりに言っています。
家庭訪問が終わったら、カルテ(個別の教育支援計画)に書き加えます。
その後一人一人の状況を報告し、スタッフ会議(SSTスタッフ・個別指導スタッフ・カウンセラー・私)で支援について話し合います。
スタッフが情報を共有していることが支援には必要だと考えているからです。
今回は「レインボー塾の保護者支援」について説明しました。
保護者を支えることが、子ども達の支援には必要不可欠です。
レインボー塾では、まだまだたくさんの取り組みをしています。
少しずつ説明していきますね。