レインボー塾のSSTについて

レインボー塾で何故SSTを?

レインボー塾は発達障害などで、生き辛さを感じている子ども達のための塾です。

生き辛さはそれぞれの子どもによって違いますが、友だちや周りの人とうまく生活ができない悩んだり苦しんだりしている子どもはとても多いです。

周りの人とうまく生活できずに不適応を起こしている子どもは、何故うまくできないのか理解できずにいたずらに傷ついている場合が多いです。

原因は様々です。特性の特徴もですが、社会性が育まれずに誤学習を重ねてきたケースも挙げられます。

発達障害などの子ども達は、集団生活の場などで「みんなと一緒に」という状況が極めて苦手な子どもが多いです。

何故みんなと一緒にやらなければいけないのか?

自分は参加したくないことに何故無理やり参加させられるのか?

自分の思った通りに行動すると「自己中心的だ」と責められ、理不尽な思いをしている子どもが多くいます。

「暗黙の了解」というのも理解しがたいことです。

どこにも書いていないし、誰も注意していないのに、何故か自分が責められることになったり、「常識がない」と非難されたりします。

今まで学習できずに苦しんでいたことが、SSTでスモールステップで学ぶことで、「そういうことだったのか!」という気づきに繋がり、「こんな時はこうすれば良いんだな」という新たな学びなっていくのです。

レインボー塾では、今まで学習できずに、悩んだり苦しんでいたりする子ども達にSSTを行っています。

レインボー塾でのSST

レインボー塾では、6人の同じ学年の子ども達(男女混合)グループSSTを行っています。

SSTでは、生活をしていく中で実践できるように様々な取り組みをしています。

これは、小学校中学年、高学年の子ども達を対象にしたSSTの活動です。

幼児や小学校低学年の子ども達へのSSTは違う方法で!

幼児や小学校低学年の子ども達に対しては、発達段階を考慮してアレンジしています。

幼児の場合は、殆ど遊び中心で、リトミックや制作活動なども取り入れています。

小学校低学年(1、2年生)に対しては、「こんな時どうする?」のコーナーはまだ難しいので、理論的なことは省いて、遊びを中心に活動して、その中で起きたトラブルや喧嘩を通して指導を行なっていきます。

幼児や低学年の子ども達へのSSTについての詳細は、また別の機会に説明します。

今回ご紹介するのは、小学校中学年(3、4年生)高学年(5、6年生)の子ども達に対するSSTの一例です。

レインボー塾 SSTの活動内容

はじめの挨拶

子ども達が全員揃ったら、リーダー(子ども達の中から希望者がなります。毎回違う子どもになるように配慮します)が、はじめの挨拶をします。

「起立」「これからレインボーSSTを始めます。礼」「着席」

これは、基本の言葉ですが、中には「みなさん1週間元気でしたか?」「今日も頑張っていきましょう」など、自分で考えた言葉を付け加える子どももいます。

ウォーミングアップ

プレイルームで運動をします。身体を動かして、体幹を鍛えたり、感覚統合を行ったりします。

プレイルームはフローリングの床で、体育館のような場所です。

教材倉庫には、跳び箱やはしご、トランポリングや平行棒など、サーキットトレーニングに必要な物が入っています。

各種のボールゲームに必要なボール、フリスビー(ソフト)、ネット、ゴールなども常備されています。

子ども達が製作した「ペットボトルボウリング」「カーリング」「ストラックアウト」「輪投げ」なども置いてあります。

体幹を鍛える、フラフープ、バランスボールやボード、床に置く平行棒などもあります。

毎回SSTのターゲットスキル(テーマ)によって、ウォーミングアップの内容は変わります。

サーキットトレーニングをするときもあれば、ゲームの中でトラブルが予想される勝ち負けのあるゲームをするときもあります。(ボウリングやストラックアウトなど)

最後はリラクゼーションタイムをとります。5分間、音楽を聞きながら床やマットの上で仰向けに寝たり、座ったりして深呼吸をします。

コミュニケーションタイム

教室に戻って、テーブルを囲んで座ります。席は自由に決めて良いことになっています。

コミュニケーションタイムでは様々な活動をします。

質問じゃんけん、テーマトーク、ジェスチャーゲーム、カードゲームなど、その時のSSTのターゲットスキルに合う活動をすることが多いです。

ターゲットスキルに関係なく、話し合い活動をすることもあります。イベントなどの企画や計画案などを話し合う場合です。(月に1度イベントがあります)

話を最後まで聞くこと」「自分の意見をわかりやすく話すこと」「意見が違っても感情的にならないこと」などのスキルを学習します。

SST こんな時どうする?

5分間の休憩を挟んで、SST「こんな時どうする?」の活動をします。

1ロールプレイ(コント)を見よう(問題提起)

スタッフ同士でロールプレイ(コント)をしてみせます。

ターゲットスキルに合った日常場面でのバッド例を提示します。

周りの子どもの様子も、他のスタッフで演じます。

例 ゲームをしていて負けそうになったので、怒ってゲームを投げたり、椅子を蹴ったりして出て行ってしまう。

2 考えてみよう(話し合い)

ロールプレイを見て感じたことや、気づいたこと、感想などを発表します。

 

タロウさん
タロウさん

ロールプレイを見て思ったこと気づいたこと、感想などを発表しよう。

 

レインボー塾の子ども達
レインボー塾の子ども達

ゲームで負けたら悔しいのがわかる 怒ってゲームを投げたら危ない、勝手に出ていくのはいけない 一緒にゲームをしている人は、嫌な気持ちになる・・・など

タロウさん
タロウさん

どうしたら良いと思う?

スタッフT1(中心となるスタッフ)が問いかけます。

シンキングタイムを設けるときもありますが、大抵誰かが意見を言います。

レインボー塾の子ども達
レインボー塾の子ども達

悔しくて怒る気持ちもわかるけど、怒り方が問題 気持ちを切り替えないといけない

ゲームを投げたり、椅子を蹴ったりするのはNG・・・など

 

タロウさん
タロウさん

悔しかったとき、どうしたら良いと思う?

レインボー塾の子ども達
レインボー塾の子ども達

僕だったらその場を離れるな ゲームを抜けてクールダウンする・・・など

 

 

タロウさん
タロウさん

クールダウンという言葉が出たけど、どうやってクールダウンをするの

 

レインボー塾の子ども達
レインボー塾の子ども達

とにかく「パス」って言ってその場を離れる 僕だったら深呼吸する 私は次は負けないぞって思う 楽しいことを考える・・・

タロウさん
タロウさん

たくさんやり方があるんだね。自分だったらどうするか考えてみよう

3 やってみよう(グッド例をロールプレイ)

バッド例であったロールプレイと同じ場面を、子ども達でロールプレイをしてみます。

この時、「考えてみよう」で考えた解決策(グッド例)をやってみます。

子どもとスタッフ、子ども同士、どちらでも構いません。子ども達の発達段階に合わせて臨機応変に行います。

例 同じゲームをやっている場面で、負けそうになってきたと想定してロールプレイをします。

4 練習してみよう(実践してみよう)

ターゲットスキルに合わせたゲームやカードを使って実際にスキルを使ってみます

うまくできないときはその場で立ち止まって、解決策を再検討してやってみます。

例 勝ち負けがハッキリしているゲーム(トランプでもカードゲームでもOK)

一緒に遊んでいくうちに、夢中になってしまって、さっきの解決策など頭から消えてしまって、本当に怒り出す場合もあります。

その時が指導のチャンスです。クールダウンのやり方、感情コントロールの方法などを実践しながら学んでいきます。

4 振り返り(フィードバック)

今日のSSTで気がついたことやわかったこと、感想などを発表します。

スタッフからは、1人1人の子どもの頑張っていたところ、良かったことなどを発表します。

「SSTで学んだスキルは、いつでも、どこでも、誰にでも使っていこう」という合言葉でSST(こんな時どうする?)のコーナーを終わります。

レーンボータイム(お楽しみタイム)

子ども達で決めた「今日の遊び」をみんなでします。

ボードゲーム、カードゲーム、ドミノ倒し、積み木、レーンボーラー(同じ形や大きさの木の板をたくさん使って色々なものを作る遊び)ボウリング、風船バレー、床卓球・・などなど、子ども達が選んで一緒に遊びます。

一緒に活動することで、「ルールを守る」「順番を守る」「負けても怒らない」などのスキルを遊びながら身につけていきます。

もし、参加したくない場合は、必ず教室のどこかで見ていることを条件に許可します。

見ているうちに参加したくなったら、その時から参加しても良いことになっています。

みんなで一緒に何かをする機会を多く持って、「一緒に遊ぶのは楽しい」「結構面白い」と感じてくれたら良いと思います。

また、レインボーラーやドミノ倒し、レゴ、積み木など、何かを一緒に作り上げていく体験も、協力性、1人だけではなくみんなと一緒に成し遂げる達成感なども養うことができます。

レインボーラーの作品の1つ

さよならの挨拶

レインボータイムが終わったら、席について「さよなら」の挨拶をします。

リーダー(子どもの中から希望者で決める)が終わりの言葉を言います。

「起立」「これで今日のレインボーSSTを終わります。礼。」「着席」というのが基本の言葉ですが、

中には「今日のSSTは楽しかったですか?」とか「今度会うときまで元気で」など、自分で考えた言葉を言う子どももいます。

さよならの握手やハイタッチをスタッフや私にしながら、子ども達は教室を出て、保護者が待っている玄関ホールに行きます。

イベント活動について

単に教室の中だけで活動するのではなく、子ども達が生活の中でスキルを使っていけるように様々なイベント活動も行っています。

調理活動

ダイニングキッチンを使って、調理を行います。子ども達で「何を作りたいか?」「どんな材料がいるのか?」「どんな器具が必要か?」「どんな方法で調理をしていくのか?」などを話し合って決めていきます。

子どもの発達段階を考慮して、スタッフがお手伝いをします。

ケーキやクッキーなどのスイーツ、焼きそばやたこ焼きなどの粉もん、野菜サラダ、カレーなどの料理など、一緒に作って食べることが楽しいと感じてもらえるような活動を目指しています。

制作活動

手作りの遊ぶ道具を作ったり、季節のグッズを作ったり、みんなで協力して作ることを目的にしています。

ペットボトルボウリング、カーリング、ストラックアウトなど、廃材を使って楽しいゲームができる道具を作っています。

また、ひな祭り、端午の節句、七夕、ハロウィン、クリスマスなど、季節のイベントを盛り上げるゲームや飾りを作ったりもします。

お出かけ

レインボー塾では、希望者でお出かけの活動を行っています。(コロナ禍の影響で今は延期)

調理する材料の買い物に行ったり、映画を見に行ったり、美術館や博物館に行ったり、デイキャンプをしたり、ボウリングに行ったりしています。

子ども達で企画して、計画を立てて、実践することで、SSTの汎化を図ります。

行き帰りはレインボーバスを使うこともありますが、敢えて公共交通機関を使っていることもあります。実際に切符を買ったりバスや電車でのマナーを学んだりするためです。

子ども達は塾の教室では見せない生き生きとした姿を見せてくれます。

友達と一緒に生活することが、「楽しい!」「面白い!」と感じてくれたら良いなと思っています。

イベントには、保護者の希望があれば、一緒に活動することもあります。

その時保護者には、ファシリテーターとして参加してもらいます。

つまり、自分の子どもに付き添うのではなく、子ども達の活動を支援する立場で見守ってもらうのです。

そうすると、自分の子どもと他の子どもとの人間関係を客観的に見ることができるし、良いところもたくさん見えてきます。

他の子どもの保護者達と、共通の目的を持って活動することで連帯意識もできてくる場合が多いです。

グループ学習をする意義

グループで学習するからこそ、社会性を育む学習が、実践に結びつきやすいと思います。

また、みんなで「どうしたら良い?」と考えて、解決策を見つけていくことで、仲間がいること色々な方法で解決できることを学びます。

1人で苦しんだり、悩んだりするのではなく、誰かに相談できること(SOSを出せること)を知ってくれたら、苦しみを少しでも緩和できるのではないかと思います。

 

今回はレインボー塾のSSTについて説明しました。

レインボー塾では、個別学習も行っています。

どんな学習内容なのかはまた別の機会にご説明したいと思っています。

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