第7話 とらネコ先生 飛ぶ(後編)レインボー塾の女子会での莉奈

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私の愛するトラ猫「ミューニャン」が天国に旅立ってから1年が過ぎた頃、私の身体に異変が!なんと!私はとらネコ「ミューニャン」に変身してしまったのです!!

こうして私は、昼間は「レインボー塾」の先生(通称レインボーばあば)として、レインボー塾に通う子ども達を支援し、夜はとらネコ「ミューニャン」通称マダムM)として、猫の仲間達と一緒に暮らす毎日を送るようになりました。

とらネコ先生とレインボー塾の子供たちアイコン

レインボー塾での女子会

数日後、土曜日の午後です。今日はレインボー塾の女子会の日です。

月に2回、レインボー塾では高学年(4年生以上)の女子(希望者)が集まって女子会を開いています。

高学年の女子は、思春期に入ったばかりです。

色々不安定な時期で辛い思いをしている子どもが多いです。

特に女子同士の人間関係がうまくいかないで悩んでいる子どもが、誰にも相談できず1人で問題を抱えていることも少なくありません。

発達障害などで「生き辛さ」を感じている子ども達が、少しずつ周りが見えてくる時期でもあります。

何となく自分はみんなから浮いているんではないか?と思い始める子もいます。

自分の興味・関心が、他の子ども達と少し違うなと感じてきます。

女子グループの中にうまく入れないと思っています。

アイドルや流行っている歌などの話題にはついていけないなと。

何となく居場所がないと感じている子もいます。

このように、様々な理由で学校生活の中で違和感を感じている子ども達がいます。

レインボー塾に通っている子ども達は、高学年になると学校生活の中で人間関係がうまくいかずに悩んでいることが多いです。

とりわけ、高学年女子にそういうケースが多いと思います。

そこで、レインボー塾では、女子会を行うことになったのです。

きっかけは、レインボー塾を卒業した中学2年生の絢香の言葉でした。

絢香は中学校に行ってから部活の先輩女子からいじめを受けて不登校になりました。

久しぶりに顔を見せた絢香は、

淳子
絢香

やっぱり女子の人間関係は難しいよ。

表面は普通にしてても、影で悪口を言われたり、追い出そうとしたり、陰険なやり方で苛めるんだよ。

小学校の時から女子同士の付き合い方を教えてもらってたら、もっとうまくできたかも。

レインボーばあば
レインボーばあば

そうなんだ。女子同士の付き合い方ねえ。

小学校でも高学年になると色々難しいらしいよ。

そうだ!レインボー塾で女子会やろうか!

一緒にクッキングをしたり、買い物に行ったりして、女子でワイワイ盛り上がるってのはどう?

淳子
絢香

良いねえ。そういうの。そんな機会があったら、私も行きたかったよ。

レインボーばあば
レインボーばあば

どう?絢香も一緒に入らない?

先輩としてアドバイスしてくれたら嬉しいな。

お母さんに頼んでみようか?

淳子
絢香

今は学校に行けてないんだ。

でも、レインボー塾だったら来ても良いかな。

先輩っていっても失敗だらけの先輩だけどね。

一緒に色々やってみたいな。

ということで、レインボー塾での女子会ができたのです。

レインボー塾での莉奈

高学年の女子は7人います。

4年生は潤子と茉莉花、5年生は京子と莉奈、6年生は真弓と千佳と鈴香です。

それに中学生の絢香が加わります。

莉奈はお母さんと一緒にやってきました。

莉奈
莉奈

こんにちは、レインボーばあば

レインボーばあば
レインボーばあば

こんにちは、莉奈。元気だった?

莉奈
莉奈

まあまあ元気だよ。

「まあまあ元気だよ」と言いながら、表情は暗いです。

やはり学校でのことを気にしてるんでしょう。

莉奈はウエイティングルームに入っていきました。

莉奈のお母さん
莉奈のお母さん

レインボー先生、いつも莉奈がお世話になっています。

今日は店が立て込んでいるので一旦帰ります。

また、終わったら迎えに来ますね。

レインボーばあば
レインボーばあば

お忙しいですね。莉奈のことは心配しないでね。

お母さんは足早に駐車場の方に向かっていきました。

レインボー塾女子会 スイーツを作ろう!ホットケーキ編

今日の女子会は「スイーツを作ろう」で、ホットケーキを作ります。

クッキングは2階にある、キッチン&ダイニングで行います。

まず材料を用意します。

中学生の絢香が、スタッフと一緒に事前に買い物をしてくれたので、アイランドテーブルの上には材料と用具が揃っています。

マリコさん
マリコさん

こんにちは、みなさん。

今日はホットケーキを作ります。

材料は中学生の絢香が買ってきてくれました。

手を洗って、エプロンをつけてくださいね。

スタッフのマリコさんの指示で、みんなは手を洗って、マスクとエプロンをつけました。

マリコさん
マリコさん

ホットケーキの作り方を説明しますね。

ホワイトボードに貼ってあるホットケーキの作り方を見ながら、説明をしていきます。

みんなは、ダイニングテーブルの席に座って聞いています。

次に作業を分担します。4人1組になって調理をします。

Aグループは4年生の潤子と5年生の京子、6年生の真弓と鈴香です。

Bグループは4年生の茉莉花と5年生の莉奈、6年生の千佳と中学生の絢香です。

みんなは、キッチンのアイランドテーブルに移動します。

各グループで材料を分けて作業に取り掛かりました。

Aグループの様子

潤子が卵を割ってボールに入れます。

そこへ京子が牛乳を入れていきます。卵と牛乳をかき混ぜます。

真弓がホットケーキミックスを少しずつ入れていきます。

京子はボールをしっかり押さえています。

ダマにならないようによくかき混ぜていきます。

鈴香はバナナやりんごなどのトッピングを切っていきます。

潤子は今度はボールに生クリームを入れてよくかき混ぜます。

みんな楽しそうに調理をしています。

Bグループの様子

茉莉花が卵を割ってボールに入れていますが、卵がうまく割れずにぐしゃっとなってしまいました。

茉莉花
茉莉花

あーっ!卵グシャグシャ。殻も入っちゃった。どうしよう。

絢香
絢香

ドンマイ。殻は箸で取れば良いから、大丈夫。

どうせ混ぜるんだから最初からグシャグシャでも良いよ。

中学生の絢香が助け舟を出しました。

茉莉花
茉莉花

良かった。私のせいでホットケーキ失敗になるんじゃないかと思った。

莉奈
莉奈

全然平気だよ。次に私が牛乳入れるから、ボール持ってて!

莉奈も笑顔で言いました。

牛乳が入ったボールをよくかき混ぜます。

千佳
千佳

莉奈、ボールをしっかり持っててね。

ホットケーキミックスを少しずつ入れるから、茉莉花は泡立て器でしっかり混ぜてね。

千佳がソロリソロリと粉を入れていきます。

茉莉花は真剣な顔で、混ぜています。

絢香
絢香

ダマができないようにしっかり混ぜてね。

ここがポイントだよ。

手が疲れたら莉奈と代わってね。

中学生の絢香がバナナを切りながら言いました。

千佳はゆっくりと粉を入れていきます。

莉奈が代わって混ぜていきます。ダマダマにならないように一生懸命混ぜています。

絢香は、イチゴやブルーベリーも用意して、生クリームにかかっています。

どちらのグループも生地ができました。今度は焼いていきます。

フライパンとホットプレートが用意されているので、どちらでも焼きやすい器具を使っても良いです。

Aグループはフライパンを選びました。

 

 

 

 

Bグループは、ホットプレートで焼いていきました。

ふわふわのホットケーキが出来上がりました。

グループで好きなようにトッピングをしていきます。

バナナ・イチゴ・オレンジなどの果物をたくさん載せている子もいます。

生クリームをたっぷりつけて、最後にイチゴを乗せている子もいます。

みんな思い思いのトッピングを楽しんでいます。

飲み物は自由に選んで良いことになっています。

ホットケーキが出来たら、ダイニングテーブルに移動して席に着きます。

マリコさん
マリコさん

みんな、上手にホットケーキが出来たね。

盛り付けも素晴らしいわね。

美味しそうよ!

写真をとっておこうか?

マリコさんが1人1人写真を撮りました。

みんな嬉しそうに、ニコニコしています。

ホットケーキのワークシート→クッキング「ホットケーキ

女子会での話 莉奈の悩み

テーブルについて「いただきます」を言うと、早速食べ始めました。

レインボーばあば
レインボーばあば

みんな美味しそうに食べてるわね。良かった。

絢香
絢香

本当に美味しいわ。みんなで作るから楽しいわね。

絢香が生クリームをすくいながら言いました。

茉莉花
茉莉花

絢香さんに助けてもらって良かったです。私失敗することが多いから・・・

茉莉花が絢香の方を向いて言いました。

絢香
絢香

失敗なんて、大したことないよ。

それに、失敗すると、次にやるときにどうしたら良いか考えるでしょ。

それが進歩っていうものよ。

千佳
千佳

私も失敗することが多いから、絢香さんの言葉で救われたわ。

千佳がパンケーキを綺麗に切りながら言いました。

京子
京子

私も。学校でもいつもドジばかり。嫌になっちゃう。

マリコさん
マリコさん

学校といえば、みんな学校ではどう?楽しく通ってる?

マリコさんがみんなを見回しながら言いました。

鈴香
鈴香

ううん。楽しくなんかない。

あんまり言いたくないけど、学校の女子って意地悪だもん。

真弓
真弓

そうそう、意地悪だよね。

みんなグループ作っちゃって。

そこに入らないと生きていけないみたいな雰囲気。

京子
京子

そうなんだ。そう言えばさ。トイレにも一緒に行くでしょ。

鏡の前で髪の毛といたりさ。

必ずアイドルの話してるよね。

真弓
真弓

それよ。アイドルの話。私全然わからないから、会話に入れないし、流行ってる曲も知らないからどうしたら良いのか?

鈴香
鈴香

私も、みんなが言ってた曲聞いてみたけど、どこが良いのかさっぱりよ。

真弓
真弓

カッコ良いって言うけど。みんな同じ顔に見えるし。

自分的には織田信長の方がよっぽどカッコ良いわよ。

鈴香
鈴香

さすが、歴女の真弓。良いこと言うわね。

でも、話に入っていけないからって、邪険にするのはどうかと思うわよね。

京子
京子

そうよ。でも現実的にはそうも言ってられないのよね。

最近は携帯もあるし。

莉奈
莉奈

その携帯のことで、私今すごく辛いんだ。

莉奈が食べるのを止めて、下を向いて言いました。

京子
京子

どうしたの、莉奈。何かあったんだね。

京子が心配そうに言いました。

莉奈
莉奈

そうなの。

さっきみんなが話してたように、私も学校の女子の話についていけないのよね。

それで会話に入らずに黙ってたら、あんたはお高くとまってる。

心の冷たい女だって。

どこかに消えれば良いのにって。みんなが私を嫌ってるって・・・メールがじゃんじゃん来るようになったの。毎晩いっぱい来るの。

最後は泣きながらみんなに訴えました。

絢香
絢香

そんなひどいことがあったの。

それは悪質ね。

かわいそうに、辛かったね

絢香が莉奈のそばに行って、肩を抱きました。

絢香
絢香

私も、みんな知ってるように、今、学校に行けてないの。

莉奈が言ったように、私も中1の頃、部活でイジメにあったの。

先輩の言うことが聞けないから、反抗的だって言われて。

メールもいっぱい来た

消えろ!学校やめろ!顔もみたくない!最後には死ね!って書いてあった。

誰かわからないように、アドレスや名前も変えてあるの。

毎日苦しんだわ。

逃げるようだけど、私学校に行くことを辞めたの

真弓
真弓

そんなことがあったの?ひどすぎるわ。

真弓が絢香のそばに行きながら、言いました。

鈴香
鈴香

私も同じように嫌なことがあったわ。

5年生の時に、女子のグループの1つから攻撃を受けたの。

ほら私、女子なのに鉄道にしか興味ないじゃん。

アイドルとか全然知らないけど、鉄道の名前はバッチリ知ってる。

だから、鉄道の歴史とか話してたんだ。

そしたら、オタクには興味ないって言われて。

あんたなんか女子じゃない。

オタク男子とつるんでいれば良いって。

私が通る度にオタクオタクって言われて、1度なんかクラスのオタクって言われている男子との相合い傘も書かれて。

本当に嫌だったわ。

鉄女(鉄道好きの女子)の鈴香が、思い出すように言いました。

京子
京子

みんな、ひどい目にあってるのねえ。どうしたら良いのかしら。

真弓
真弓

だいたい携帯ってのが問題よね。

匿名性をいいことにして、言いたい放題

相手を傷つけることなんか何とも思ってないんだから。

真弓が憤慨しながら言いました。

千佳
千佳

そうよね。便利な道具だけど、使い方によっては恐ろしい物になるよね。

鈴香
鈴香

女子のグループって本当に厄介どうやって切り抜けたら良いのやら

しばらく、みんなは、黙々とホットケーキを食べていました。

レインボーばあば
レインボーばあば

話を聞いていると、みんな大なり小なり被害にあっているようね。

悲しいことだけどそれが現実なんだねえ。

さて、鈴香が言ったように、どうしたら切り抜けられるのか

みんなで考えてみようか

みんなが、ホットケーキを食べ終えて、それぞれ好みの飲み物を飲み始めた頃、私は提案してみました。

マリコさん
マリコさん

携帯のメールだけど、今使ってるメルアドとか削除して、新しいメルアドにするとメールは届かなくなるわよ。

SNSも一切止めてしまうと良いかも。

新しいメルアドは秘密にして、家族しか知らないようにしておくと良いよ。

マリコさんは、パソコンにも強いのでアドバイスをしました。

ホワイトボードに書きながら説明しました。

莉奈
莉奈

そうなんだ。止めることができるのね。良かった。

みんな知らなければ送ってこれないもんね。

マリコさん
マリコさん

それから、携帯に自分の写真とか居場所を知らせるのは、とっても危険なことなの。

さっき真弓も言ってたけど、携帯のSNSって匿名性が高いでしょ。

同じ小学生だと思ってチャットしてたら、相手がおっさんだったりすることもあるの。

世の中にはそれを利用して騙したり犯罪を犯したりする悪人もいるから、十分に気をつけなければならないのよ。

マリコさんの話をみんなは熱心に聴いています。本当に恐ろしい世の中になったものです。

少女達を守るためにも、正しい情報が必要です。

千佳
千佳

携帯についてはわかったけど、学校での過ごし方はどうしたら良い?

女子のグループが正直怖いんだ。

ほっといて欲しいと思うの。

千佳がうんざりした顔で言いました。

鈴香
鈴香

話が合う子っていないのかな?

やっぱり私って変わってるから難しいかも。

かと言って無理やりアイドルの話に入っていくのも嫌だなあ。

鈴香も嫌そうな顔で言いました。

絢香
絢香

無理に相手に合わすことないよ。

一緒にいて楽しめる相手じゃないと本当の友達っていわないと思うよ。

相手におべっか使ったり、知らない話に夢中になってるフリはできないよ。

莉奈
莉奈

私、同じクラスに、植物が好きで、一緒に苗を植えたりしている栽培部の子がいるの。

その子だったら話が合うし、穏やかに過ごせるかも。

莉奈が思い出すように言いました。

京子
京子

そうだよ!趣味の合う子とか、グループに入っていない子とかいるんじゃないかな?

その子達と話してみるのも良いかも

真弓
真弓

女子のグループに入らないと学校生活が地獄だって思ってたけど、それが良いかも。

だって私は私だもの。無理に違う私を演じてもうまくいかないよね。

潤子
潤子

私は4年生だから、まだそんなに女子のグループって感じはないけど、今日話が聞けて5年生になった時の心構えっていう感じができたように思うわ。

茉莉花
茉莉花

そうそう、私もまだ男子と遊ぶことが多いから、女子のグループって意識したことがなかったけど、そう言えばみんなアイドルの下敷きとか使ってたな。

気にしなかったから毎日呑気にしてたけど、高学年になったら気をつけようと思ったわ。

4年生の潤子と茉莉花が口を揃えて言いました。

マリコさん
マリコさん

みんな、今日は色々な話ができて本当に良かったわね。

学校の女子には話せない悩みも、ここでは自由に話して良いからね。

レインボーばあば
レインボーばあば

1人で悩んでないで、みんなと話して、解決策を考えていこうね。

レインボー塾はそのためにあるんだからね。

絢香
絢香

レインボーばあば、ありがとう。

こういう機会を作ってくれて嬉しいわ。

私も小学校の時に女子会に参加してたら、中学校で苦労しなかったかも。

いつでもお手伝いするから声をかけてね。

レインボーばあば
レインボーばあば

頼りにしてるからね!また、来てね。

いつだってあなたもレインボー塾の子どもですよ。

それから、みんなで後片付けをしました。

莉奈は心が晴れたように、ニコニコ笑顔でお皿を洗っています。

ホットケーキパワーかな?

いえいえ、レインボー塾に通ってくる子ども達は、どの子も学校や家庭で辛い思いを背負っていることが多いです。

ここで、その胸のうちを思いっきり吐き出してみんなに聴いてもらうことが一番の癒しになります。

そして、みんなで解決策を考えていくうちに、希望の灯りが見えてくるのでしょう。

女子会をやって本当に良かったと思っている、とらネコ先生(レインボーばあば)ことマダムMでした。

とらネコ先生とレインボー塾の子ども達の話はまだまだ続きます。

どんな子どもが出てくるのか?

どんなネコ仲間が登場するのか?

次回のお楽しみです!

 

 

 

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