第3話 とらネコ先生 ずり落ちる(前編)ついカーッとなってしまう悠人の場合

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私の愛するトラ猫「ミューニャン」が天国に旅立ってから1年が過ぎた頃、私の身体に異変が!なんと!私はとらネコ「ミューニャン」に変身してしまったのです!!

こうして私は、昼間は「レインボー塾」の先生(通称レインボーばあば)として、レインボー塾に通う子ども達を支援し、夜はとらネコ「ミューニャン」通称マダムM)として、猫の仲間達と一緒に暮らす毎日を送るようになりました。

とらネコ先生とレインボー塾の子供たちアイコン

レインボー塾の子ども 悠人

私は住宅地の塀の上を歩いていました。だって私ネコですもの🐈

そりゃあ塀の上に乗っかるのは、ちょっと苦労しましたけどね。何しろ10キロを超える巨体ですからって、なんてこと言わすの!ダイエットしなくちゃ。

塀の上をシャナリシャナリ歩いていると(実際はドタドタ)、何やら聞き捨てならない音が!

シャーシャー、バキバキ、グチャって何事?

下を見ると👀1人の男の子が、棒を振り回しているではありませんか!

道沿いの家の生垣を、なぎ倒しています。

生垣の木はボキボキ折られ、葉っぱが飛び散っています。

本人は顔を真っ赤にして、憤怒の様相です。

悠人2
悠人

チキショウ、チキショウ、ぶっ殺してやる!

何だか物騒な言葉を怒鳴っています。

ヒエー!怖いよお。

えっちょっと待って!

この男の子何処かで会ったような🤭

ワオ!この子レインボー塾の悠人じゃない?

悠人は確かこの辺りの住宅街に住んでいたよね。

小学3年生の悠人は、小柄でちょっと浅黒くて、動くことが大好きな男の子です。

とっても頭が良くて、計算も得意です。

でもジーッとしてることが苦手で、すぐに気が散ってしまうところがあります。

まあカーッとなってやりすぎるところもあったっけ🤭

でもこんなに怒っている悠人を見たことがなかったので、私はビックリしてしまいました。

マダムM(とらネコ先生)
マダムM(とらネコ先生)

悠人どうしたの?何があったの?

私は塀の上から話しかけました。

でも!聞こえてくるのは、

マダムM(とらネコ先生)
マダムM(とらネコ先生)

ニャーニャニャーンにゃお!

えー🤨まさかの展開って私ネコだった🐈

そりゃそうだよねえ。ネコが「悠人」なんて呼びかけたら、それこそビックリ‼️ですよね。

ウームどうしたもんか?

どうやってアプローチをしよう?考えあぐねていると、

悠人がふと上を見ました。

ジーッと私を見上げています。

「レインボーばあばだよ👵」って言う思いを込めて

マダムM(とらネコ先生)
マダムM(とらネコ先生)

ニャーニャニャーン

猫語解読は無理があるよね。

すると悠人が棒を置いて近づいて来ます。

悠人
悠人

おまえネコ?随分太っちょだなあ。たぬきみたい。

何ですって?太っちょはまあ許せたとしても、タヌキって!そりゃひどすぎる!

決してタヌキさんを嫌ってるわけではないけど、

純粋なネコ🐱をタヌキ呼ばわりされたら、そりゃあ傷つきますよ!

まあ良いか❗️ここは心を広く持って。

私は塀の上から飛び降りました。(ドタ!)

やっぱり身体の重みが・・・

悠人はしゃがんで、私の頭を撫でたり、顎の下をくすぐったりしました。(そこよそこ。ナデナデされるととーっても気持ちいいのよね❣️)

マダムM(とらネコ先生)
マダムM(とらネコ先生)

ニャーオゴロゴロ

悠人
悠人

気持ちいいのか?ゴロゴロ言ってる。それにしてもぶっといなあ。

何食ってんだ?

何って、マイダーリンが作ってくれる美味しい食事よ♪

ちょっと食べすぎることもあるけどね!

悠人は私の脇を抱えて抱き上げようとしました。

悠人
悠人

すげー重い。本当にデブッチョだなあ!

そう言いながらも何とか抱くことができました。

落っことされたら大変なので、私も必死でしがみつきます。

悠人はソロソロと私を抱いて歩いて行きます。

どこに行くんだろう?このままじゃ私ずり落ちるわ!

悠人は、時々私を抱き直しながら、住宅の端にある神社の階段まで歩いて行きました。

神社は、この住宅街ができる前から坂の上にあって、階段からは住宅が見渡せるようになっています。

悠人
悠人

お前、重すぎ!ダイエットしたら?何キロあるんだよ?

ブツブツ文句を言いながら階段に座りました。

私は悠人の膝の上に丸くなって座りました。

悠人の膝は小さいので、多分にはみ出してるけどね。

悠人は私の首の下を撫でながら、しばらく黙って住宅の方を見ていました。

マダムM(とらネコ先生)
マダムM(とらネコ先生)

ゴロゴロゴロゴロ。

私の意思とは無関係に身体が勝手に反応して、思わず喉を鳴らしてしまいます。

悠人
悠人

やっぱ気持ちいいんだな。

悠人はちょっと嬉しそうに、はにかんだ笑顔を見せてくれました。

住宅の灯りがオレンジ色に光っています。

一軒一軒家族が楽しい時間を過ごしているのかもしれません。

そろそろ悠人も帰った方が良いんじゃないかなあ、なんて思っていると、

悠人3
悠人

俺さあ、サッカー部、クビだってさ。

ポツリと悠人が呟きました。

えーっ!どういうこと?学校のサッカーってクビになるの?それはビックリ!!

悠人3
悠人

コーチがさあ、俺はチームワークができないから、メンバーに迷惑かけてるって言うんだ。そりゃ勝手にボールを1人で蹴ってパスしなかったのは悪いけど、得点を取ったのは俺だぜ!なのにクビって・・・

なるほど、1人で全部やろうとするからみんなが嫌がってるんだね。

悠人3
悠人

それにさあ、ドッジボールの時だって、俺、絶対真ん中の線を超えて投げてないのに、みんなが線を超えてたからせっかく当てたのに、なしだって言うんだ。そんなのズルイだろ。だから、言ったやつをぶん殴って、ボールを遠くに蹴ってやったのさ。そしたら、先生が、俺が悪いから謝れって。俺悪くないのに。順が鼻血を出したのは確かだけど、あいつが悪いんだから仕方ないじゃないか。

悠人は堰を切ったように次々に話し始めました。

私は悠人の胸にもたれて前足を腕にかけました。

悠人の顔を下から見上げて

マダムM(とらネコ先生)
マダムM(とらネコ先生)

ニャーン!

悠人3
悠人

お前、わかってくれてるの?なんか話したいことがいっぱい。

悠人3
悠人

他にもさあ、お前は嘘つきだってみんな言うんだ。嘘なんかついてないのに。遊びにも入れてくれない時があるし、嫌なことばっかり!

そりゃあ大変だよね。みんなに気持ちをわかってもらえないのは辛いよね。

悠人の手をナメナメしました。

悠人3
悠人

お前の舌ってザラザラしてるんだなあ。くすぐったいよ。

悠人はまんざらでもない顔で言いました。

悠人2
悠人

俺、みんなに嫌われてるんだ。俺の味方なんか1人もいない!

父ちゃんは『お前が自分勝手だからいけないんだ』って言うし。

母ちゃんは先生に『ちゃんと家庭で躾けてください』って言われるし。

兄ちゃんは、学校の勉強と塾とサッカーで忙しそうで話を聞いてくれないし。

先生も学校もみんな大っ嫌いだ!

私はドキドキしている悠人の心臓の音を聴きながら、悲しみが伝わってくるのを感じました。どうしたら良いのかなあ?何かできることはあるのかな?

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