第10話 とらネコ先生 レインボーばあばに(前編)学習が苦手な雅樹の場合

第9話 とらネコ先生 登るをご覧になりたい方は→こちらをクリック

私の愛するトラ猫「ミューニャン」が天国に旅立ってから1年が過ぎた頃、私の身体に異変が!なんと!私はとらネコ「ミューニャン」に変身してしまったのです!!

こうして私は、昼間は「レインボー塾」の先生(通称レインボーばあば)として、レインボー塾に通う子ども達を支援し、夜はとらネコ「ミューニャン」通称マダムM)として、猫の仲間達と一緒に暮らす毎日を送るようになりました。

とらネコ先生とレインボー塾の子供たちアイコン

田園風景の中のネコ仲間

気持ちの良い夕闇の中、私は畑や田んぼが広がる、田園風景の中を歩いていました。

今日は少し足を伸ばして(ダーリンの車に乗せてもらって)のどかな場所に来ています。

本当に久しぶりで、もう稲刈りが済んでいる田んぼの脇の用水路を見ていました。

水は澄んでいて、綺麗な流れの中に亀もいます。

JAの駐車場から少し上がった、神社の祠の周りが、ネコ達の集会所になっています。

マダムM(とらネコ先生)
マダムM(とらネコ先生)

こんばんは。

ミヤコ姉さん
ミヤコ姉さん

誰かと思ったら、マダムMじゃないか。本当に久しぶりだね。

マダムM(とらネコ先生)
マダムM(とらネコ先生)

ミヤコ姉さん、久しぶり。元気そうね。

ミヤコ姉さん
ミヤコ姉さん

まあ、寄る年波には勝てないけどね。

マダムM(とらネコ先生)
マダムM(とらネコ先生)

そんなことないわ。とっても元気そうよ。

それに、相変わらず美ニャンね。

ミヤコ姉さん
ミヤコ姉さん

ありがとね。

マダムMもふくよかさが増したんじゃない?

美味しいものいっぱい食べているのね。

マダムM(とらネコ先生)
マダムM(とらネコ先生)

ふふふ、内緒。

ミヤコ姉さんは、前は都市部に住んでいました。

老夫婦の家族が、この田園地方に移住したので、姉さんも一緒についてきたのです。

まだまだ、ここの暮らしには慣れないそうです。

タイゾウじいさん
タイゾウじいさん

そのぶっといネコはマダムMだな。

この辺じゃそんな身体を見かけないからな。

マダムM(とらネコ先生)
マダムM(とらネコ先生)

まあ、タイゾウじいさん、失礼しちゃうわね。

タイゾウじいさんは、名前はじいさんですが、まだそんなに年寄りではないキジトラです。前の飼い主が、タイゾウじいさんだったので、そのまま自分の名前もタイゾウじいさんと名乗っています。面白いこと。

タイゾウじいさん
タイゾウじいさん

まあまあ、元気そうで良かった。

マダムM(とらネコ先生)
マダムM(とらネコ先生)

タイゾウじいさんこそ、元気そうね。

タイゾウじいさん
タイゾウじいさん

ここら辺のネコは、みんな健康的な生活をしてるからな。

サンジ
サンジ

何が健康的だよ。

野菜ばかりで、肝心の肉がないじゃないか。

まあ、スーパーの裏にはたんまりあるけどな。

そう言いながら、祠の裏から出てきたのは、サンジです。

サンジはこの辺りのことをよく知っているノラ猫です。

餌のありかを見つけるのが得意です。

この村に一軒だけある、何でも屋のようなスーパーマーケットが彼のお気に入りの場所です。

シャケ
シャケ

これはこれは、マダムM。どうしてたんだい?本当に久しぶりだなあ。

祠の下から現れたのは、サバトラの、シャケです。

シャケが大好物なので、誰からともなくそう呼ばれています。

大きな農家の飼い猫ですが、殆ど外で自由に過ごしています。

マダムM(とらネコ先生)
マダムM(とらネコ先生)

まあ、シャケ。

相変わらずスマートねえ。

シャケばかり食べてないで、他のものも食べた方が良いんじゃない?

シャケ
シャケ

そんなことしたら、マダムMみたいになっちゃうじゃないか。

なんといってもネコはスマートじゃないとな。

敏捷の動けないよ。

マダムM(とらネコ先生)
マダムM(とらネコ先生)

ふん!失礼しちゃうわね。

ちゃんと動けるわよ。

私は、猫パンチの真似をしました。

シャケ
シャケ

おっと、わかったよ。怒るなよ。

チョロ
チョロ

そこで猫パンチをしてるのは、マダムMか?相変わらず・・・

マダムM(とらネコ先生)
マダムM(とらネコ先生)

相変わらず何よ!チョロ。

あなたにも猫パンチお見舞いしようか?

チョロ
チョロ

いえいえ、結構です。怖いなあ。

チョロは三毛猫のオスです。

この辺の何件かの家で飼われているネコです。

日によって名前もチョロ、チャイ、ミケなど色々な名前で呼ばれています。

サンジ
サンジ

ところでさあ、雅樹ってたしかレインボー塾の子どもだよなあ。

それまで熱心に毛づくろいをしていたサンジが言いだしました。

マダムM(とらネコ先生)
マダムM(とらネコ先生)

そうよ。

レインボー塾の2年生

個別指導を受けているの。

サンジ
サンジ

その雅樹って、勉強が苦手かい?

マダムM(とらネコ先生)
マダムM(とらネコ先生)

そうねえ。

多分苦手だと思うわ。

サンジ
サンジ

学校の前を通ったら、雅樹がみんなに「お前って馬鹿だよな。全然本も読めないし、字も書けない。」って言われてた。

すごく暗い顔で、とぼとぼ歩いてたぞ。

サンジが心配そうに言いました。

 

ミヤコ姉さん
ミヤコ姉さん

私も見たことある。

神社の鳥居のところで項垂れてたよね。

すごく悲しそうだったよ。

ミヤコ姉さんが、思い出すように言いました。

チョロ
チョロ

僕もチラッと見たな。

元気がなくて可哀想だったよ。

マダムM(とらネコ先生)
マダムM(とらネコ先生)

そうだったの。

可哀想に。

今はもう家で寝てる頃だろうね。

学校での様子を見に行かなくちゃね。

サンジ
サンジ

見に行かなくっちゃって、ネコだよ。

追い出されてしまうよ。

タイゾウじいさん
タイゾウじいさん

そうだよ。

あそこの用務員さん、ネコを見ると、箒で追いかけてくるぞ。

一度怖い目に遭ったから知ってるんだ。

タイゾウじいさんが、思い出すのも怖い様子で言いました。

マダムM(とらネコ先生)
マダムM(とらネコ先生)

そんなことあったの?

そうか。ネコじゃダメだねえ。

シャケ
シャケ

ダメだよ。マダムM。

いくら貫禄があっても、ネコはネコだからな。

マダムM(とらネコ先生)
マダムM(とらネコ先生)

そうよねえ。

ちょっと考えてみるわね。

みんな、心配してくれてありがとう!嬉しいわ。

これからも、雅樹のこと見守ってあげてね。

サンジ
サンジ

任せときな、いつだってレインボー塾の子ども達の味方さ。

チョロ
チョロ

そうだよ、ちゃんと見守ってるから、安心しなよ。

マダムM(とらネコ先生)
マダムM(とらネコ先生)

ありがとう。またね!

私は神社の祠から、階段を降りて、鳥居をくぐり、JAの駐車場の方に歩いて行きました。

駐車場には、マイダーリンの車が止まっています。

ケンゾウさん(ダーリン)
ケンゾウさん(ダーリン)

おや、神社に行ってたのかな?

マダムM(とらネコ先生)
マダムM(とらネコ先生)

そうよ。

すごい情報を仕入れてきたのよ。

ニャーン、ニャーオ、ニャン。

ケンゾウさん(ダーリン)
ケンゾウさん(ダーリン)

そろそろ帰ろうな。

丁度月も綺麗に見えてきたよ。

私は、ダーリンに抱かれながら、月を見ていました。

それから、どうやって、雅樹の学校での様子を見に行こうかと考えていました。

レインボー塾の学校訪問

レインボー塾では、学校訪問をやっています。

詳しい説明は、レインボー塾の学校関係者支援の中に書いてあります。→こちらをクリック

今日は、マダムMとしてではなくレインボーばあばとして、レインボー塾の2年生、雅樹が通う赤松小学校に来ています。

雅樹は、LD(限局生学習症)の子どもで、読み書きが苦手です。

話をすることは得意で、色々な知識もあるのですが、音読や読解力に課題があって、特に文字をマスの中に入れて書くことが出来ません。

この前の夜にネコ達から雅樹の話を聞いていました。

そしたら丁度、お母さんが相談にいらっしゃって、学校での雅樹の様子を見て欲しいとの要望がありました。

私はまず、教育委員会に連絡をとって、学校長ともお話をして、許可を頂いてから、学校を訪れました。

塾長の私と、個別指導担当のヒデトシさんと一緒に来ました。

レインボー塾の個別指導については→こちらをクリック

赤松小学校の周りには、のどかな田園風景が広がり、刈り取られた田んぼには、野焼きの跡が見られます。

雅樹の学級は、2年2組で、新卒の女の先生が担任をしています。

学級の子ども達は30人で、2階のよく陽のあたる明るい教室でした。

国語の授業を見学しました。

先生が、黒板に教科書の文章を書いています。

子ども達は、その文章をノートに写しています。

雅樹は、黒板を見ているのですが、ノートには写せていないようです。

先生が、雅樹のところに行って、

担任
担任

なんで黒板を写していないの。

今すぐ書きなさない。

と言いました。

でも、雅樹は鉛筆を持とうとしません。

担任
担任

早く写さないと、消してしまいますよ。

鉛筆を持ちなさい。

雅樹は渋々鉛筆を持って、ノートに書き始めました。

担任
担任

どこを写してるの?

最初から写さないとダメでしょう。

もっと丁寧にマスの中に字が入るように書きなさい。

雅樹は俯いて、ノートを机から落としました。

担任
担任

ノートを拾いなさい。何回、同じことを言われたらわかるの?

雅樹はそのまま机に突っ伏してしまいました。

先生は、困った顔で私たちの方を見ました。

担任
担任

それなら、仕方ないわね。授業が進まないから、続けます。

先生は黒板の横に立ちました。

担任
担任

この文章を読んでいきます。前の人から順番に、1文ずつ読みましょう。

先生の指示で、前の人から順番に読んでいきます。

やがて雅樹の順番になりました。

担任
担任

音読をするだけですよ。

さあ読んで!

雅樹
雅樹

・・・・・

担任
担任

なんで読まないの!

ノートも書かないし、音読もしないし、全然授業に参加できていませんね。

雅樹
雅樹

・・・・・

雅樹は俯いたまま黙っています。

担任
担任

次の人、読んでね。

次の人が、雅樹の代わりに読みました。

みんなの表情を見ていると、毎回こんな調子で授業が進んでいるようです。

雅樹は机に突っ伏したまま、授業は終わってしまいました。

休み時間になったので、私は雅樹のそばにそーっと近づきました。

子ども4
子ども

誰、このばあさん。雅樹のおばあちゃん?

子ども1
子ども

授業参観日でもないのに見に来たの?

子ども6
子ども

雅樹はいっつもこんな感じだよ。

読めないし、書けない。

子ども5
子ども

でも、生き物のことはよく知ってるじゃん。

子ども2
子ども

図鑑を見るのが好きだよね。

子ども4
子ども

だけど、授業中はダメだな。

みんな口々に言いながら、運動場に行ってしまいました。

雅樹の辛い気持ち

レインボーばあば
レインボーばあば

雅樹、辛かったねえ。

雅樹
雅樹

・・・・・

レインボーばあば
レインボーばあば

そうだよね。

黒板の字は遠くて、よく見えないし、写せないよねえ。

雅樹
雅樹

僕、何処を写せば良いのかよくわからないんだ。

みんな線みたいに見えるし。

レインボーばあば
レインボーばあば

辛いよねえ。先生に言ってみた?

雅樹
雅樹

だって、先生は僕がワザと書かないんだって言ってる。

レインボーばあば
レインボーばあば

そうなの。

鉛筆を持ってなかったからじゃないかな?

雅樹
雅樹

どうせ、鉛筆を持っていても、書けないんだから無駄だよ。

レインボーばあば
レインボーばあば

そうかもしれないけどね。

雅樹
雅樹

音読だって、僕は字が読めないのに、読めって言われても出来ないよ!

レインボーばあば
レインボーばあば

そうだよね。読めないよね。

毎日、毎時間、こんな風に辛い思いをしていたんだねえ。

雅樹
雅樹

そうだよ!

レインボーばあば
レインボーばあば

ばあばが担任の先生とお話ししても良いかな?

雅樹のことを、もっとよく知ってもらった方が良いと思うの。

雅樹
雅樹

きっと、先生は僕が嫌いなんだよ。

いつもいつも怒ってばかりで。

レインボーばあば
レインボーばあば

そんなことないと思うよ。

ただ、雅樹の辛さがよくわからないんだと思うんだ。

説明すれば、きっとわかってくれると思うけどな。

雅樹
雅樹

でも・・・

レインボーばあば
レインボーばあば

休み時間だったら、先生もお話する時間があるかもしれないわね。

会ってきて良いかな?

雅樹
雅樹

良いよ。

私は、しょんぼりしている雅樹を、ヒデトシさんと教室に残して、職員室に行ってみました。

担任の先生との話

レインボーばあば
レインボーばあば

レインボー塾の塾長です。

雅樹のことで、お時間をいただいてもよろしいですか?

担任
担任

ええ、少しなら。

雅樹はレインボー塾に行ってるのですか?

レインボーばあば
レインボーばあば

そうです。

雅樹は個別指導を受けています。

担任
担任

個別指導ですか。

あの子は、字も読めないし、書けません

どうして通常の学級に在籍しているのでしょう?

特別支援学級の方が良いのではないですか?

わたし達は、職員室の隣の生徒指導室に入りました。

生徒指導室は、テーブルとパイプ椅子が置いてある、殺風景な狭い部屋でした。

窓もありません。

先生と私はテーブルを挟んで向かい合わせに座りました。

レインボーばあば
レインボーばあば

雅樹は、LDといって、限局性学習症なのです。

知能には問題はありませんが、読む・書く・聞く・計算する・推論するなどの特定の分野が非常に困難な状況にあるのがLDです。

雅樹の場合、読む・書くの部分がとても弱いのです。

担任
担任

LDって大学でも習いました。

でも、知能には問題がないのに何故でしょう?

レインボーばあば
レインボーばあば

脳の機能に関係があるのです。

詳しいことは、医者の判断を仰がないといけませんが、雅樹は字が読みにくいし、うまく書けないのです。

他の知識は豊富で、生き物のことなどは図鑑をよく見てるので詳しいでしょう?

担任
担任

そうですね。よくみんなに話しています。

レインボーばあば
レインボーばあば

雅樹の場合、みんなと同じ方法では、なかなか学習が進まないのです。

担任
担任

でも、通常の学級に在籍しているのだから、みんなと一緒に授業を受けてもらわないと。

漢字どころか、ひらがな、カタカナもまだ習得できていない状況ですよ。

レインボーばあば
レインボーばあば

そうですよね。

雅樹は2年生になってから、入塾したので、まだまだ指導が足りません。

でも、雅樹に合った学習方法で学習を進めていけば、少しずつ出来ることが増えていくと思うのです。

担任
担任

でも、それは塾だから出来るんです

30人もいる学級で、雅樹だけ特別にするわけにはいきません。

苦手なことでも克服させなければ。

レインボーばあば
レインボーばあば

わかります。

先生もご苦労なさっていますよね。

大変だと思います。

でも、ちょっと想像していただきたいのですが、視力が悪い人がいたとします。

視力が悪いので、周りがぼんやりとしか見えません。

その人に、根性で見なさいと言いますか?

サボらないでしっかり見なさいと言っても、見えないものは見えないのです。努力しても見えないんですから、しっかり見なさいと言われると辛いだけですよね。

でも、メガネをかけたり、コンタクトをつけたりしたらどうでしょう?

辛い努力をしなくても見えるじゃないですか。

見ることに必死にならなくても、ちゃんと見えるようになります。

担任
担任

確かにそうですね。

私はコンタクトをしてるけど、なくなったら何も見えなくなります。

そんな状態で黒板の字を写せと言われても、困るだけですよね。

レインボーばあば
レインボーばあば

そんな感じです。

雅樹の場合は、視力には問題がありませんが、眼球運動に課題があります。

つまり、見ようとすると、眼球が勝手に動いたり、反対に動かなかったりして、文字がユラユラ揺れて見えてしまうこともあるのです。

目と手の協調運動にも問題があるので、マスの中に字を書くことが難しいのです。

他にも、短期記憶といって、短い間の記憶力が非常に弱いのです。

だから黒板で見た文章を、ノートに書く前に忘れてしまうということもあります。

色々な困難があって、雅樹は毎日苦しんでいるのです。

担任
担任

そうだったんですか。

私、全然知らなくて、もっとちゃんと真面目に学習したら出来るのに、サボっているんだと思っていました。

雅樹に辛い思いをさせていたんですね。

もっと理解していたら指導の方法も変わっていたかも。

レインボーばあば
レインボーばあば

先生は、今、雅樹の窮状を知っていただいたのですから、今までのことはしょうがないですよ。

それよりも、これからのことが大切です。

担任
担任

私は、どうすれば良いのでしょう?

レインボーばあば
レインボーばあば

そうですね。

まず、雅樹の席ですが、なるべく前にしていただけるとありがたいです。

授業中、雅樹が困っている時に、さりげなく手助けできますからね。

雅樹は教科書を読むのがとても苦手ですよね。

本当は音声教科書だと良いのですが、今は難しいでしょう。

ですから今は、行がごちゃごちゃにならないように、スリットが入っているカードを使ってください。

これは、レンボー塾でも使っている物です。

書くときのノートですが、マスが大きい方が良いです。

プリントを持たせますので、それを使わせてください。

でも、全部書けなくても良いと言ってあげてください。

本当はタブレットを使って板書を撮影したり、文字を書いたり出来ると1番良いのですが、まだ2年生ですし、学校として許可が下りないとなかなか難しいでしょうからね。

先生はメモを取りながら、熱心に聞いていました。

タブレットの話になると、ハッと顔をあげて

担任
担任

タブレットですか。

これからは1人1台タブレットを持って、授業をすることも提案されています。

ギガスクール構想ですが、出来るようになると思います。

レインボーばあば
レインボーばあば

そうなんですか。

良かったです。

無理にマス目に入れて字を書かせずに済みますね。

雅樹は視覚刺激には弱いですが、聴覚刺激、つまり耳で聞く方が得意なんです。

音声で教科書の文章や本を聞けば、頭に入りやすく理解が出来るようになります。

音読や黙読だと読むことに必死になって、内容を理解するところまでいかないのです。

担任
担任

なるほど、そういうことだったんですね。

だからなのね。

読解力がないのでと思っていましたが、読解ができていないのなら無理な話ですよね。

レインボーばあば
レインボーばあば

ご理解いただけて本当に嬉しいです。

参考になれば幸いです。

担任
担任

本当に勉強になりました。

早速取り掛かります。

でも、雅樹だけが特別扱いをされるのを、学級の他の子ども達が納得するでしょうか?

レインボーばあば
レインボーばあば

そうですね。

学級の他の子ども達にも、得意なことや、苦手なことがあるのではないでしょうか?

苦手なことは、どうやって克服しますか?

努力と根性で乗り越える子もいるでしょう。

でも、メガネのような、なんらかのアシスト(手助け)があれば、頑張れる子もいるでしょう。

人はそれぞれに合った支援を受けることが出来るのです。

それが、平等だと思うのですが、どうでしょうか?

他の子にも同じようにそれぞれに合った支援をしていけられれば1番素敵だと思いますよ。

担任
担任

まあ、理想はそうでしょうね。

でも、なかなか難しいです。

レインボーばあば
レインボーばあば

学級の子ども達を信じてあげてください。

「雅樹が生き物のことよく知っているよ」って言ってた子どもがいました。

子ども達は、案外他の子どものことよく見ていますよ。

学級の子ども達の助けを借りるのはどうでしょう?

みんなにも得意なことや、苦手なことがありますよね。

雅樹は、読んだり書いたりすることが苦手です。

でも、努力と根性で出来るようにはなりません。

雅樹に合った学習方法で学習をすれば、ちゃんと理解できるようになるのです。

それを、学級のみんなにお話ししていただけると良いなと思います。

担任
担任

そうですね。

苦手なことを頑張るために、雅樹に合った学習方法で学習を進めていると言ったら、あの子達も納得するかもしれませんね。

レインボーばあば
レインボーばあば

良かったです。

先生に理解していただけてとても心強いです。

雅樹のこと、宜しくお願いしますね。

担任
担任

こちらこそ、色々教えていただいて、感謝します。

雅樹にとってどんな方法が良いのかを、これから頑張って見つけていきますね。

レインボーばあば
レインボーばあば

先生が1人で頑張るのは大変です。

管理職の方や学年主任の先生、特別支援コーディネーターの先生など、助けていただけそうな人に相談してみるのも良いでしょうね。

学校全体で特別支援体制をとっていくことがベストだと思いますよ。

丁度チャイムが鳴ったので、先生は教室に帰って行きました。

校長先生との話

私は、校長室に行って、校長先生に会いました。

挨拶を兼ねて、これからのことをお願いしようと思ったのです。

一介の塾経営者がおこがましいとは思いますが、そこは長年特別支援教育に携わってきた強みです。

校長先生は、私が通級指導教室を担当していた時からの顔なじみだったのです。

レインボーばあば
レインボーばあば

校長先生、今日は無理を言って、雅樹の授業を見せていただき、本当に感謝しています。

ありがとうございました。

校長先生
校長先生

いえいえ、担任が新卒の若い先生なので、勉強になれば良いなあと思っていたのです。

レインボーばあば
レインボーばあば

とても熱心で、真面目な方ですね。

色々お話しして、雅樹の窮状を理解していただきました。

こんな機会を作っていただいて、本当に良かったです。

校長先生
校長先生

それは良かった。

先生は、小学校での経験も豊富だし、退職してから素晴らしい塾を経営なさってると聞いています。

何か私で手助け出来ることがありますか?

レインボーばあば
レインボーばあば

ありがとうございます。

実は、雅樹の問題は、担任の先生1人で抱え込むのは大変だと思うのです。

僭越ながら、特別支援教育コーディネーターの先生を中心に、学校全体で取り組んでいっていただけると有難いです。

校長先生
校長先生

そうですな。

それでは、早速そうしましょう。

本当はもっと早く取り掛からなければいけなかったんでしょうが、なかなかこんな小さな学校だと人手が足りませんのでね。

でも、前向きに善処していきます。

レインボーばあば
レインボーばあば

ご理解いただけて本当に嬉しいです。

よろしくお願い申し上げます。

私は、校長室から出て、雅樹がいる2年生の教室に行きました。

学級でのその後の様子

雅樹の担任の先生が、さっき話していたことを、学級のみんなに話しています。

雅樹は、恥ずかしそうに下を向いていました。

でも私は、学級のみんなが、熱心に先生の話を聞いている姿を見ていると、希望が持てるなと思いました。

きっと学級の子ども達が、先生と一緒になって、雅樹を助けてくれるのではないかと思いました。

私は、ヒデトシさんと一緒に、車で学校を出て、レインボー塾に帰って行きました。

雅樹が、笑顔で学校生活を過ごせるには、どうしたら良いかな?と考えながら田園風景を満喫している、レインボーばあば、こと、とらネコ先生でした。(なんかいつもと違う?)

 

 

 

 

第10話 とらネコ先生 レインボーばあばに(後編)に続く→こちらをクリック

 

タイトルとURLをコピーしました